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2007-01-02 [長年日記]

_ [Life] 今年の抱負

なんとなく年が明けてしまい、おまけに元旦も終わってしまったのですが、とりあえず今年の抱負は

  • 夜寝て朝起きる

  • 暴飲暴食をしない

  • からだをいたわる

ということで。実につまらない…(でも最近シリアスに心配し始めた)。

_ [Music] 最近の音楽生活

BOSE Companion2 II マルチメディアスピーカー(ブラック)

去年の暮れから、自宅の常用オーディオ(と書くと偉そうだが、所詮は大昔中古で買い叩いたBOSEのAMS-1II)のCDプレーヤの調子がおかしい。たぶん駆動系の問題なので修理に出さなければならないのだが、その間ひたすらイヤホン(ヘッドホン持ってない)というのもさみしいので、コンピュータにつなぐ卓上スピーカを買うことにした。自分へのクリスマスプレゼントだ。

なにせ部屋が狭いので、5.1chサラウンドだのサブウーハーが別になっているような奴だのは論外である。ということで、別にBOSE信者というわけでもないのですが、BOSE Companion2 II マルチメディアスピーカー(ブラック)を買ってみた。どうせなら奮発してM3を買ってしまえ、という悪魔の囁きが頭の中をぐるぐる渦巻いていたのだが、そもそも今のオーディオ、全部ひっくるめて5万で買ったのよね。卓上スピーカだけに5万出すというのは、私の感覚ではクレイジーに思えました。真性オーディオ・マニアからすればケッという感じだろうが…それに、どうせコンピュータ上で聞くのはMP3ばかりだし。

肝心の音質だが、いかにもBOSEらしく、このサイズでサブウーハーもないのに低音がやたら出る。ほとんど厭味なくらいに良く出るのである。これはたまげた。ただ、逆に高音の出が若干弱いような気がする。置き場所の問題かしらん? 低音が良く出ると言っても、買ってすぐはボンボンボーンとふやけたようなベース音でかなり落ち込んだのだが、一週間ほどエイジングしたらだいぶ締まった音になってきたようだ。

なお、主にコンピュータ上で音楽を聴くようになったので、私が最近何を聴いていたかはLast.fmで見られます。これは思わぬ余徳。

_ [Music] News From Blueport

I Know.は大昔アカウントを作ったまま放置していたのだが、もったいないのでNews From Blueportと銘打って音楽関係情報源限定のアンテナを用意してみた。音楽レーベルのウェブページや評論家のブログなどが中心だが、チェック先が更新されると上のほうに出てくる。[記事表示]をクリックすると更新内容が見られる。自分で言うのもなんだが、思ったより便利。

私自身はRSSリーダないしPlaggerを使っているのであまり必要ないのだが、もしよろしければお使いください。ここは追加すべきだ、というようなサイトがあったら教えてね。


2007-01-03 [長年日記]

_ [Music] People Gonna Talk / James Hunter

People Gonna Talk(James Hunter)

池袋のはずれにだるまやという中古レコード屋がある。クレジットカードが使えないので不便なのだが、帰り道と言えば帰り道だし、変な出物があるのでたまに寄る。

で、この店に行くとこのところ必ずイッツソーイージートゥーセイアイムソーリー〜というのんびりした曲がかかっておった。R&Bのようなソウルのようなカリプソのような、なんとも和む曲なのだが、誰が歌っているのか皆目見当がつかない。てっきり60〜70年代のヴィンテージものか何かだと思っていたのだが、しまいには何かの拍子に頭の中で勝手に鳴るようになってしまい、気になってしょうがないのでとうとう店員に聞いてみたのである(あまりこういうこと無いんだけど)。そうしたら2006年の新録だと言う。たまげましたね。

このジェームズ・ハンターという人がどういう来歴の人なのか良く知らないのだが、イギリスで20年以上のキャリアを持ち、ヴァン・モリスンとも共演するベテラン・ギタリスト/シンガーらしい。当人のサイト(音が出るので注意)に行くとこのアルバムが試聴できる。私が言っているのは11曲めのIt's Easy To Sayだが、他の曲もハズレがない。ということで、これは熱烈おすすめ。去年中に知っていたらこれが2006年のベスト1だったなあ。


2007-01-05 [長年日記]

_ [Music] In Atlantic City / Wild Bill Davis & Johnny Hodges

ライヴ・イン・アトランティック・シティ(ジョニー・ホッジス/ワイルド・ビル・デイヴィス/ローレンス・ブラウン/ボブ・ブラウン/ディッキー・トンプソン/ボビー・ダーハム)

私はジョニー・ホッジズのミーハーなファンだ。ホッジズが吹いてさえいればムードミュージックみたいなのまで手に入れて聞いている(別にコンプリート蒐集とかはしていませんけど)。今どき私の歳でホッジズのファンというのは我ながらどうかしているような気もするが、でもこの人のアルトの音色には生理的なレベルで抗いがたい魅力があると思う。さすが、チャーリー・パーカーが「アルトのリリー・ポンス」と呼んで尊んだだけのことはある。

このアルバムは1966年の夏、ニュージャージー州アトランティック・シティでレギュラーの仕事を持っていたオルガンのワイルド・ビル・デイヴィスのバンドに、たまたまエリントン楽団で巡業に来ていたホッジズ(とトロンボーンのローレンス・ブラウン)が参加したジャムをライヴ録音したものだ。テナーやギターもいるので全編ホッジズ吹きまくりというわけではないが、一音吹けばやはりホッジズ御大(当時すでに還暦)の存在感は他を圧している。特に入念な打ち合わせをしたというわけでもないのだろうが、ホッジズとワイルド・ビルは60年代たびたび共演を重ねた旧知の仲、お互いの手のうちを知りつくした素晴らしい調和ぶりだ。

この手の自然発生的なジャム・セッションの録音は締まりの無いものになりがちだが、てらいが無いのにきちんとアルバム一枚持たせるのは、この人たちに本物のオリジナリティが宿っているからだろう。見事なまでになんのひねりも仕掛けもないのだが、ぼんやり聞いているだけで気持ちが良い。ということで、事実今日もぼんやり夜中に聞いて、ええなあ、とつぶやいているのであります。


2007-01-07 [長年日記]

_ [Music] Classic / Chris Connor

Classic(Chris Connor)

白人女性ジャズ・ヴォーカルの大物、クール・ヴォイスのクリス・コナーというと、どうしても50年代にベツレヘム・レーベルに残した三枚、すなわちバードランドの子守唄(クリス・コナー)ジス・イズ・クリス(ジョー・ピューマ/ミルト・ヒントン/ラルフ・シャロン/ハービー・マン/カイ・ウィンディング/J.J.ジョンソン/オシー・ジョンソン/クリス・コナー)クリス(ラルフ・シャロン・グループ/エリス・ラーキンス・トリオ/サイ・オリヴァー楽団/ヴィニー・バーク・カルテット/クリス・コナー)のうちどれか、という話になってしまうが、現在に至るまで長いキャリアを誇るだけに、他にも良い作品は多くある。私がコナーが好きなのは情緒過多でもっさりしたところが少ないからなのだが、そういったさっぱりした美質は私が知る限りどの作品でも保たれているので、おそらくこの人の地なのだろう。

比較的最近(といっても20年前だけど)に録音されたこの作品は後藤雅洋さんのジャズ・オブ・パラダイス―不滅の名盤303 (講談社プラスアルファ文庫)(後藤 雅洋)で推薦されていたもので、へえと思って買ってみたらとてもよかった。大体において器楽奏者に比べヴォーカルは衰えるのが早いという先入観があったのだが、良い意味で裏切られて意外。

とは言っても声には年齢相応の疲れが見え、音域が下がっていることもあってかつてよりも若干重さが増しているような気もするが、周囲を固めているのがパキート・デリヴェラやクラウディオ・ロディティといった南国出身の明るい連中なので、軽やかなアレンジと相まって楽しく聞ける。Blame It on My Youthのようなかつてのストレートな定番も演っているが、Sweet Happy LifeやBrazilのようなブラジル系のちょっと意表を突く選曲はこのメンバならではだろう。個人的には、シメのLet's Take the Long Way Homeがちょっとをひとを食ったような粋なアレンジで気に入っている。


2007-01-08 [長年日記]

_ [Music] Have You Met...Barcelona? / Ben Sidran

HAVE YOU MET BARCELONA?(ベン・シドラン)

ヒット曲もあるとは言え、ミュージシャンとしてのベン・シドランの熱烈なファンというのがこの世に存在しているのかどうか私は知らない。ただ、少なくともプロデューサーとしてはある意味とても有能な人だと思う。自分の趣味をここまで押し通せる人はそんなにはいないだろうから。

このアルバムは1987年、(確か)クレモンティーヌの父親がやっていたレーベルOrange Blueに吹き込んだもので(だからクレモンティーヌもちょこっとだけ歌っている)、ジャケの装丁からも明らかなように、まあなんといいますか、本来の狙いはオゥッシャレーなフレンチジャズってやつすか? ただ、ゲストでジョニー・グリフィンが入っていて、くつろいではいるものの例によってゴリゴリと吹き倒しているので、お洒落な雰囲気は台無しである。私のような者にとってはそこがいいんですけれども。というか、シドランも年季の入ったジャズ・ファンだし、グリフィン先生に存分に吹いて頂くというのが最優先だったに違いない。

シドランのピアノは特筆するようなものではないけれど、あまりでしゃばらず良い雰囲気を作っていると思う。率直に言ってとてもうまい。歌わなければもっといいのに…。


2007-01-09 [長年日記]

_ [Reading] ミステリー&エンターテインメント700 / 河田陸村、藤井鞠子編

ミステリー&エンターテインメント700(河田 陸村/藤井 鞠子)

海外の推理小説やアクション、サスペンス、ファンタジー、ホラーといったいわゆるエンタテイメント系の本(の邦訳)は足が早く、評判になって数年後にはもう絶版、版元品切れということが多い。そんなときに便利なのがAmazonのユーズドだが、こちらはこちらで立ち読みで当たりを付けられないという致命的な欠点がある。実績のある人でもハズレはハズレだ。

私は多読乱読がモットーで、ハズレを引くのも楽しみのうちだとは思っているが、どうしたって可処分時間は限られているのだし、あまりハズレばかりは引きたくない。そんなわけで良質なガイドブックが必要なのだが、推理小説だけならコアな客が付いているせいかそれなりに良いものがあるものの、それ以外のエンタテインメント全般まで範囲を広げるとぱっとすぐに思い付くものが無い。私が個人的に好きなのは、そういった剰余のほうなのだけれど。

というわけで、海外のその手の本に関しては、このところずっとこれを使っている。採点の俎上に乗ったのは、選者11人による合議で選ばれた作家99人の、1995年までに訳が出た全作品ということなので、その年の新刊が対象のこのミステリーがすごい!2007年版などとは違って、基本的にはクラシックというか過去の名作が対象だ。また、ミステリ専業の作家は意図的に省いたらしい。結果として、キングやクーンツといったモダン・ホラー系やグリシャムのような法廷もの、フォーサイスやクランシーのようなサスペンスものといった王道エンタメ、トマス・ハリスやプーヅォ、レヴィンといった映画原作、ル・カレのような最近はほぼ絶滅してしまったスパイもの、はたまたブラウンやブラッドベリといったSF(?)や果てはウンベルト・エーコに至るまで、およそ娯楽読みものと名が付きそうなものは大体カバーしたごった煮となっている。裏を返せばSFなりホラーなりといった個々への突っ込みは、そうした個別ジャンルのハードコアなファンからすればごく薄くて物足りないのかもしれないが、私のようなあまり濃くないファンにとっては十分無名な人も多く取り上げられている。最近読んだ夢果つる街 (角川文庫)(トレヴェニアン/北村 太郎)なんて、知っている人は知っているんだろうけれど、ここで挙げられていなければ今さら手を出さなかったですねえ。

あと、個人的に気に入っているのは「やたら点が辛い」ということだ。★の数(1つから5つまで)で評価がついているのだが、★★★★★のさらに上、☆☆☆☆☆を取った「ぜひ読んでほしい超名作」は本当に数少ない。ちゃんと数えていないがおそらく数十もない。もちろん難癖をつけて強引に評価を落としている、というわけではなくて、ちゃんと読んだことがある人ならば、まあ言われてみればそうかな、と納得できるものばかりだ。例えば御多分に洩れず私もスティーブン・キングが好きだが、あのキングにしても☆☆☆☆☆は二作品にしか与えられていない。どれかはまあ、大体分かりますよね。ちなみにIT〈1〉 (文春文庫)(スティーヴン キング/Stephen King/小尾 芙佐)は★★★★★である。クーンツやグリシャムに至っては最高で★★★★★どまり。手厳しい…。

まあ問題は、このガイドブック自体がすでに絶版、ということですかね。良い本なんだけどなあ。


2007-01-13 [長年日記]

_ [Life] オリコン個人提訴事件を憂慮し、烏賀陽弘道氏を支援するカンパ活動

というのが立ち上がったようだ。News From Blueportにも追加した。

私は烏賀陽さんともオリコンとも付き合いがないが、物書きのはしくれとして今回の問題は看過できないと思っている。

_ [Food] メガマック

頭がシビアに不自由な人間なので、この手のくだらないものはどうしても食べてみないと気が済まない。なので、よせばいいのに食ってみた。ジーク、ジャンク!

まあ、単に肉を2枚余計に挟んであるビッグマックというだけなんですけれども。754kcal。すげえなあ。どうしても食べている途中で山が崩壊してしまうので食べにくいこと甚だしかったが、どうにか完食しました。なんだろう、結構バランス良く感じたな(笑)。まともなハンバーガーなら普通これくらい肉挟んであるものね。あるいは私の味覚がどうかしているだけかもしれません。

_ [Fun] Webスカウター

ウェブサイトの「メディア影響力」を測定するおもちゃ。この手のものはいろいろあるが、手軽でなかなかおもしろい。どう求めてるんだとか言う話は突き詰めても野暮なだけですね。ちなみにこの個人ブログは1021点、3620位だそうです。ふーん。自分でチェックしてみたい人はこのWebスカウター情報をクリックするよろし。

なお、/.Jは堂々の4位。すげえな。Open Tech Pressは128位。まあこっちはこんなもんかな。

_ [Music] Atomic Clock / Mark Helias' Open Loose

益子さんに教えてもらった一作。実はAmazon.co.jpで取扱いがない。私はディスクユニオン新宿ジャズ館の店頭で買ったのだが、なかなか見付からず店員も巻き込んでの大捜索作戦になってしまったので、ユニオンの通販本人のウェブページから買うのが面倒がなくて良いように思う。

マーク・ヘライアスというのはどこかで聞いたような名前だと思っていたのだが、最近だと菊地雅章のスラッシュ・トリオで菊地雅晃とベースを分けあっている人だった。単に私が知らなかっただけで、大ベテランと言って良いキャリアの持ち主。

ようはピアノレス・テナートリオ(サックスはトニー・マラビー)で、フォーマット的に何か目新しい点があるわけではないのだが、何といっても三者の音が良い。録音が良いというのもあるんだろうけど、グングンと伸びるベースの低音が素晴らしい。うちのようなチンケなオーディオでもそこそこの音が出るのだから、ちゃんとしたシステムならものすごい音が出るだろう。演奏内容も申し分無い。なんというか、割と普通のジャズですよ。

本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

Before...

_ 楠正憲 [こういうのを出してくるのって,マクドナルド的には『スーパーサイズ・ミー』のほとぼりは冷めたって考えているのでしょうね..]

_ mhatta [TFJさん、Enja盤はメンツとか見た目は魅力的ですけどねえ。新作というのはThe Line Upのことだと思います..]

_ mhatta [楠さん、まあ、マックというかファストフードが体に悪いのは疑う余地が無いことだけれども(栄養が偏っているから)、あの映..]


2007-01-14 [長年日記]

_ [Music] Tales from the Hudson / Michael Brecker

Tales from the Hudson(Michael Brecker)

マイケル・ブレッカーが亡くなった(インターナショナル・ヘラルド・トリビューンの記事)。しばらく前からMDS()とやらに罹って危機的状況というのは聞いていたのだが、一時はだいぶ持ち直したとも聞いていたので残念だ。

ブレッカーが一番注目を浴びていた時期というか、ブレッカー・ブラザーズやステップス(・アヘッド)でばりばりと活躍していたころをリアルタイムで経験したわけではないので、私より年上のファンとはかなり温度差があるのだが、それでもブレッカーの単独リーダー作はどれも出来が良かったし、良く聞いた。これなどは私がブレッカーを初めて聞いた作品なので印象深い。メセニー、ホランド、デジョネット(にジョーイ・カルデラッツォ)という大物で固めたバックに一歩も譲らず吹きまくるだけでも偉いが、誰にも似ているようで(コピーされまくったので)、実は誰にも似ていないブレッカーならではのクールとホットが同居した不思議な個性が良く出ている。改めて聞き直してみて、これは年月の経過に耐えうる名盤だと思った。マッコイ・タイナーがゲストでピアノを弾くSong for Bilbaoとか、爽快でかっこいいなあ。


2007-01-15 [長年日記]

_ [Food] マックグリドル

よほど間抜けなもの(例えばメガマック)が売り出されない限り、昼以降マクドナルドで飯を食うということが滅多に無い私であるが、朝メニューは結構食べたりする。ええそうですともどうせ俺は馬鹿だよ。若干言い訳をすれば、朝に温かいものがさっと食える店って(特に田舎は)あんまり無いんですね。

そんなわけで、今日から発売というこれも早速試してみた。宣伝では「」という中身を予測しにくい名前だけを先行させて勿体を付けていたが、ようするに基本は従来のマフィンである。ただ、パンの代わりにメイプルシロップを染み込ませたパンケーキで具材を挟んでいるというわけ。「風」というのがなんだかケミカルな感じで良いですね。

いかにも既存食材の順列組合せから作りましたと言う感じのメニューだが、甘いパンケーキにソーセージやスクランブルエッグなどしょっぱいおかず(あとオレンジジュースとコーヒー)、というのはメリケンのダイナーとかで出てくる頭の悪い朝食(ランバージャック・ブレックファストとか言うやつ)でありがちなパターンであって、個人的にはなんだか懐かしかった。健常人には全くお薦めいたしませんが。


2007-01-18 [長年日記]

_ [OpenSource] 誰かgnushogiをなんとかしてくれ

チェスは今でもたまに指すのだが、将棋とは縁遠くなって久しい。でも勝手に将棋トピックスはいつも楽しく読ませて頂いている。そこで紹介されていたTakodori's Self-brainstorming How to Promote Shogi Globallyの記事より。

オープンソース(GPL'd、しかもあのhyattせんせいのCraftyよりも強いんだって!)のチェス思考エンジン、Glarungの作者が、コンピュータ将棋に興味を持っているそうである。自分でエンジン書く気満々らしいので、興味のある方は手伝ってあげてください(私は無理)。日本でも将棋思考エンジンの開発はいろいろなところがやっているはずだが、フリーソフトウェア/オープンソースという形では全く出てこないのが残念だ。まあ、いろいろ事情はあるんでしょうが。

ところで、フリーソフトウェアの将棋思考エンジンと言えば先の文中にも出てくるGNU Shogiだが、こう言っちゃなんだがものすごく弱い。自他共に認めるボンクラの私が勝てるんだから相当な弱さである。理由はこれまたいろいろあるのだろうが、ブック(定跡)ファイルが古い上に貧弱なのが主たる原因の一つなのは間違いない。見たところ、実はブックをひたすら追加して充実させるだけで結構強くなるんではという気がするのだが、誰かやりませんかねえ。今どきの居飛車穴熊の基本手筋を教えるだけで相当厄介な相手になると思うのだが(私が振り飛車党だから)。ちなみにブックファイルは頒布tarballのmiscディレクトリの中に入っているgnushogi.tbkだ。実際はこれをバイナリ形式(gnushogi.bbk)に変換して使っている。中身は

# ←から始まる行はコメント

P7f P8d B7g P3d P6f S6b R7h P5d K4h

と言う感じで、もろチェス記法なのだが(gnushogiは昔のgnuchessをベースにしているのでしょうがない)、右から1,2,3...9(これはふつうの将棋と同じ)、上からa,b,c...iというわけ。上の例を解読すると、▲7六歩△8六歩▲7七角△3四歩▲6六歩△6二銀▲7八飛…と言った先手三間飛車の出だしになる。他のよくある記法(7g7fとか)もいくつかサポートしている。今まで出てこなかった駒は、桂馬はN(ight)というのは当り前だが、金将はG(old General)、香車はL(ance)ですね。!や?を使ったチェス風の好悪手指定もできる。このあたりはdocディレクトリ中のBOOKFILESという文書にざっと説明が書いてある。持駒から打つのは*か'だ。終局はResignsだけではなくSennichiteやJishogiの指定も出来る。

ちなみに最初、ブックファイル中のコメントに書いてある「Static (Rook)」だの「Fourth」だのというのは何のことだろうと思ったのだが、もちろん前者は居飛車のことですね(振り飛車はRanging Rook)。Fourthは当然四間飛車。弱いなりに指し手になんとなく昭和の香りがするのは、塚田スペシャル(!)とかのあたりで追加が止まってるからかな。空中戦法とかかまいたちとかを知っているのもおもしろい。なぜかKISHUU TAIZENというコメントも…なつかしすぎる。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ usata [戦法どんな人が追加したのかなんとなく分かる気も…… あとけっこうインストールとか面倒ですけど、GPL な思考エンジン..]


2007-01-23 [長年日記]

_ [Music] The Soul Man! / Bobby Timmons

ザ・ソウル・マン!(ボビー・ティモンズ/ロン・カーター/ウェイン・ショーター/ジミー・コブ)

1966年の録音。取り立てて出来の良いアルバムというわけではないのだが、個人的に愛聴している。世間的には、当時マイルズのクインテットで活躍していたウェイン・ショーターが参加していることで知られている作品かもしれない。まあ、ベースはロン・カーターだし、ドラムスもジミー・コブなので、どのみちリーダーを除く全員が新旧マイルズ人脈ではあるのですが。ショーターがこういうもろハードバップのセッティングでワンホーンで吹いているのはかなり珍しい(他にはVee Jayに残した初期リーダー作くらい?)ような気がする。

ティモンズが脚光を浴びたのはブレイキーやキャノンボールのバンドでヒットを飛ばしまくった1958年から61年の間の正味わずか3年間で、その後の活動はいかにも地味だ。おまけに深酒の末1974年には肝硬変で亡くなってしまった。もうあと数年生き長らえていれば、ハードバップ・リヴァイヴァルの流れに乗ってキャリア的な復活もあり得たような気がするが…。とは言っても、調べてみて分かったのだがこの人は実は1935年生まれで、ハードバッパーとしてもかなり若い世代に属する。絶頂期は23歳から26歳の間、享年は38歳ということになる。昔の人は二十歳そこそこでアーティストとして完成してしまっているのがすごい(そういえばブラウニーが死んだのも25歳のときだった)。あまりに若くして完成してしまった才能が、当人にとって幸せだったかどうかはよく分かりませんけれど。

ちなみにショーターと言うと昔からSchizophreniaが好きなのだが、このアルバムではあそこで演っていたTom Thumbの(たぶん)初演が聞けます。Schizophrenia収録のバージョンよりもさらにヤクザな雰囲気を漂わせているのがたまらん。


2007-01-24 [長年日記]

_ [Movie] 菅井君と家族石 The Perfect / 蛙男商会

菅井君と家族石 The Perfect [DVD]

mrmt先生に蛙男商会の存在を教えて頂き、あまりのことに悶絶したのも遠い昔。あれよあれよと言う間に(やや)メジャーになってしまった。おもしろいものが一般にもウケるのは喜ばしい。Rubyと並んで島根が誇るプロダクトだと思う。とか書くとMatzさんに殴られそうだが。

ザ・フロッグマンショー:古墳ギャルのコフィー 第1巻 [DVD]ザ・フロッグマンショー:秘密結社鷹の爪 第1巻 [DVD](TVアニメ)といった近作はまだ見ていないのだが(mrmt先生によるとまあまあらしい)、やはりこの日記をお読みの皆さんは最初に菅井君を見るべきである。ブラック・ミュージックが好きな人はパンピーの1.5倍くらいは楽しめる。何といっても兄ちゃんの空気読めなさがいかにもコルトレーンという感じでもう最高だ。他のキャラも、なぜ彼らにその顔が与えられているのかをじっくり考えてみると味わい深い。まあそこまで考えて作ってないと思うけど。

_ [Rant] オリコン vs. 烏賀陽訴訟について

すでに論点は出尽くしている感もあるが、自分の頭の整理を兼ねて少し書いてみよう。大体は「オリコン個人提訴事件を憂慮し、烏賀陽弘道氏を支援するカンパ活動」の趣旨と同じで、だからこそ彼らの動きを支持するんだけれども。

私にとって今回の訴訟で重要な点は、オリコンいきなり烏賀陽さんを訴えたという一点に尽きる。賠償請求が高額だとか、オリコンや烏賀陽さんの主張の真偽などは、正直に言えばどうでも良い。訴訟に持ち込む前にオリコンが烏賀陽さんと接触(あるいは自社の言い分をメディアに発表)し、議論した上で訂正や謝罪を求めていた(そしてそれを烏賀陽さんが蹴った)ならば、私はオリコン支持に回っていたと思う。

とは言え、誰かを訴えるのは原告の権利であり自由である。よって、オリコンが訴訟に持ち込んだこと自体は、本来責めることはできない。だからここからは要望に近いのだが、私としては、企業にしろ個人にしろ、意見の不一致は法廷では無く言論の場で解決することをまず第一に志向してほしいと思う。訴訟はあくまで最後の手段ということだ。

私は往々にして間違ったことを書く。もちろん正しいことも書く(というか、書いた時点ではすべて正しいと思っている)。私も名は惜しいのでそれなりに調べたり考えたりはするが、それでも間違えることはあるということだ。ものを書くというのは、本質的にリスキーな行為なのである。もしかすると私が書いたことで、他人に甚大な迷惑をかけることがあるかもしれない。そうした場合、直接指摘してくれればよろこんで反論なり訂正なりするし、謝罪するのもやぶさかではない(そもそもすべて実名で書いているから逃げ場がない)。しかし、問答無用でいきなり訴えられるというのは承伏できない。反論は法廷で行えば良いという意見もあろうが、私を含めた一般人にとって、訴訟を抱えることは金銭的のみならず極めて社会的にコストの高い状況である。それが分かっていて何か大胆なことを書く人間はいない。つまり、今回のオリコンのような行動が「慣行」として根付いてしまったら、自由活発な言論を萎縮させること極めて甚だしいと思うのだ。もちろん、これは何を書かれても泣き寝入りしろということとは違う。それなりの手順を踏んでくれということだ。

ブログのようなインターネット上での言論活動もそうだが、オープンソースのバザール型開発モデルにしても自由な言論の保証が前提としてある。およそイノベーションの前提は言論の自由なのだ。そして、言論の自由は、お題目ではなく実質的なものでなければならない。それが失われることは、社会全体にとっても決して好ましいことではないと私は思う。

その意味で、今のところ事態の推移は私たちにとっては好ましい方向に動いているとも思う。明らかにオリコンは、烏賀陽さんを訴えたことで単に訂正や謝罪を求めた場合よりもはるかに甚大なダメージを被っているからだ。これを見た他の企業が、オリコンの轍を踏まないことを望みたい。またオリコンにしても、今からでも遅くない。訴訟を取り下げ、改めて言論の場で烏賀陽さんと対決すべきだ。とりあえず相手に匕首を突き付けてから交渉するというのは、議論ではない。脅迫である。そもそもこのまま行って、訴訟に勝とうが負けようが彼らが得るものは無いと思うのだが如何。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

_ 小倉秀夫 [「いきなり」ではないと思います。 http://www.oricon.co.jp/news/confidence/4..]

_ mhatta [小倉さん、「いきなりではない」と判断された根拠はおそらくリンク先の「弊社が烏賀陽氏に宛てた内容証明郵便に対する回答F..]

_ midnight surfer [言論封じの前例として武富士=サラ金がある。 彼らが何故存在しているのかは、つきつめれば悪政 が原因で背後の銀行が金儲..]


2007-01-30 [長年日記]

_ [Reading] 逃亡日記 / 吾妻ひでお

逃亡日記(吾妻 ひでお)

大ヒットした失踪日記(吾妻 ひでお)(イースト・プレス)、うつうつひでお日記 (単行本コミックス)(吾妻 ひでお)(角川書店)と来て今度は日本文芸社と、装丁は似ているのに全部出版社が違うという不思議な状態だが、この本にはまんがはあまり載っていなくて、前二作の舞台裏を語るインタビューが中心だ。「失踪日記」には途中で吾妻氏の若い頃の話も出てくるので、そのへんは事実上「半生を語る」という感じにもなる(インタビュアーの話の引き出しかたがなかなかうまい)。冒頭の「失踪の地を行く」というフォトセッション(なぜかメイド服来た女の子がいっしょに写っている)では、ホームレス時代に住んでいた場所を再訪。石神井公園とか、東伏見の竹薮とか、田無の陸橋(と文中には書いてあるけどたぶんこれは西原の歩道橋ではないかと)とか、全部うちの近所なので感に堪えない。あんなとこにおったんかい。

まあ、当人が言うように便乗本なのだが、案外おもしろかったです。体調が悪いときに読むにはちょうど良い。