My Human Gets Me Blues

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2007-03-03 [長年日記]

_ [Music] The Life Aquatic Studio Sessions / Seu Jorge

ライフアクアティック・スタジオセッションズ(セウ・ジョルジ)

このアルバムを初めて聞いたときのことはよく覚えている。去年、とあるクラブイベントに遊びに行ったら、DJの女の子がこれをかけたのだ。

この手のイベントは踊りに行くものであって、かかる音楽をまじめに聞くということはほとんどないのだが、この時だけは別で思わず聴き入ってしまった。シンプルなギターの弾き語りなのだが、知らない男が知らない言語で、しかしよく知っている歌を歌っている。よく知っているどころか、曲はデヴィッド・ボウイのジギー・スターダスト(デヴィッド・ボウイ)だ。でも歌詞は英語じゃないし歌ってる奴もボウイじゃないしな…ということで、結局好奇心に負けてDJブースまで見に行ってしまったのである。そしたらかかっていたのはこれだったというわけ。

セウ・ジョルジというのはブラジル人の俳優で、このアルバムもライフ・アクアティック [DVD]という2004年公開の映画(ウェス・アンダーソン監督、私は未見だがけっこう面白いらしい)の中でジョルジが歌うものを、スタジオで別途録り直したということらしい。この人の強みはナチュラルなリズム感の良さだと思うのだが、それにしてもボウイのあの変な曲を、こうまで爽やかかつ情感豊かに歌えるのか、と素直に驚かされた。かけると場の雰囲気が一変する音楽というのがあるが、まさしくこれはそのひとつだ。おすすめ。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

_ ますこ [Seu Jorgeは映画にも出ていますが、Farofa Cariocaというサンバ・ファンク・バンド(<未聴)でデビ..]

_ mhatta [ますこさん、ジョルジの本業は歌手だったんですか。道理で素人離れしていると思いました。ボウイの曲が変というのは別にけな..]

_ Bee'sWing [ファロファ・カリオカ、ブラジリアン・ファンクの王道っていうか、めっちゃかっこいいですよ!]


2007-03-06 [長年日記]

_ [OpenSource] Japan Linux Conference 2007 論文募集

今年も募集が始まりました。なぜか私も審査員です。正直言って私以外の審査員の顔ぶれはなかなかです。締切は7月。一等賞の賞金は20万円。夏休みに遊びすぎておこづかいが足りなくなることが予想される学部生さんには特におすすめ。個人的には、とりあえず英語で論文書いてくれたら点数高いです。

なお、名前が名前なので、たまにLinux(カーネル)がらみのネタしか受け付けないんだろうと勘違いされていることがありますが、そんなこたありません。HURDや*BSDのネタであってもOK。ユーザランドのネタもウェブがらみもOK。PlaggerもOK。ただしプロプライエタリなやつは原則だめ。オープンソース・オンリーということでお願いいたします。あとはバーリトゥードということで、面白ければなんでもありです(本当にウケ狙いのものはぜひLTに)。今年はチュートリアルも認めるようなので、技術的な新規性がなくても中身がちゃんとしていれば採択する可能性はあります。sumii先生の一時間ML入門みたいなのが来たら大喜びですね。

ちなみに、「すでに公刊された論文は投稿できません」というのは、ようするにネタそのものは卒論修論やどこぞのジャーナルに投稿したのと同じでもいいけど、論文そのものの使いまわしは勘弁してね、という意味です。


2007-03-09 [長年日記]

_ [Music] New York Tango / Richard Galliano

ニューヨーク・タンゴ~ピアソラへのオマージュ(リシャール・ガリアーノ/ビレリ・ラグレーン/アル・フォスター/ジョージ・ムラーツ)

アコーディオン奏者、リシャール・ガリアーノは結構頻繁に来日しているような気がするが、4月にまた来るようだ。あいにく生で見たことはないのだが、今回は行けたら行きたいな。

このアルバムは、ガリアーノがそれなりに名のあるジャズメン(ビレリ・ラグレーンがギター、ジョージ・ムラーツがベース、アル・フォスターがドラムス)と組んで作ったもので、別にジャズ・スタンダードを演っているというわけではないのだが、私のようなジャズが主食の人間にはとても馴染みやすい音に仕上っている。

冒頭のピアソラ曲などを聞くと、ピアソラが濃厚にまとっていた重量感や圧迫感こそないものの、小気味よいアタックやスピードといったキレの面では凌駕している部分もあり、ガリアーノ独自の個性を形作っている。今さら言うのもなんだがインプロヴァイザーとしての実力は相当なものだ。2曲めのSoleilを筆頭とした一連の自作曲からも明らかなように、メロディメイカー、作曲家としての能力も素晴らしい。サイドでは特にラグレーンのギターが快調。

なお、最後にジャコ・パストリアスのアレを演奏しているが、これはジョー・ザヴィヌルと共演したのがきっかけでレパートリーに入れたとのこと。まあ、あんまり合ってないと思うけど…。


2007-03-10 [長年日記]

_ [Music] Mosaicの新録

Mosaic Recordsと言うとリイシュー専門というイメージがあったのだが、そろそろリイシューのネタも尽きてきたということか、新規録音も始めるようだ。しかし、その一発めがチャールズ・トリヴァーのビッグバンドというのが、いかにも渋いですなあ。


2007-03-17 [長年日記]

_ [Music] バド・パウエルについてのレクチャー

来週の土曜日(3/24)、15:30ごろから、四谷のジャズ喫茶「いーぐる」にて、ジャズ・ピアニスト、バド・パウエル(Earl "Bud" Powell, 1924-1966)に関する講演を行います。いーぐるでレクチャーをやらせて頂くのは3年ぶりになりますか(前回はたぶんアンドリュー・ヒル)。お暇な方はぜひお越しください。お代は1ドリンクオーダー(+200円だったかな)ということだったと思います。

例によってキャリア全体を俯瞰できるような選曲にしますので、バップ・ピアノの開祖、狂気の天才という名前だけはよく耳にするが、実はちゃんと聞いたことがないという方を特に歓迎します。また、最近発見された音源や、全く未発表の音源もいくつか用意してありますので、いまさらパウエルかよと言う向きにも喜んで頂けるのではないかと思います。


2007-03-26 [長年日記]

_ [Music] パウエルを聞け!

先週土曜日の講演には、予想外に多くのご来場を頂きありがとうございました。3時間近くの大音量パウエル漬け、しかも一部は必ずしも録音状態の良くない音源という、慣れていない方には拷問に近い長丁場だったのではないかと思いますが、パウエルの出来という見地からはあれ以上のチョイスはできないという自信があります。いわゆる「パウエル派」の面々とは隔絶した、本家ならではの圧倒的な凄味を体感していただけたならば幸いです。パウエルはジャズ史上の偉人としてよく言及される割に、最近では数枚の有名アルバムを除いてあまり聞かれていないような気がしてなりませんが、これを機会に再び関心を持って頂ければ。

_ かけた曲

講演終了後、かけた曲が入っているアルバムを教えてくれというご依頼がありました。残念ながら廃盤になっているものも多いのですが、分かる範囲で挙げておきます。

まず講演の前半、パウエルの若いころの録音ですが、Tempus Fugue-It(Bud Powell)という4枚組ボックスセットにあらかた入っているようです。あとで知って結構びっくりしました。最近はこんなものが出ているんですねえ。おすすめ。

これでAll God's ChildrenのIIIとWest End BluesとEpistrophyが入っていれば完璧だったのですが、あいにく漏れています。IIIを含めた1949年のカーネギー・ホール・クリスマス・コンサートの音源は様々な形でCD化されていますが、現時点ではどれも廃盤のようです。日本盤CDだとNORMAからAll Stars X'Mas Concert (NOCD5664)として出ていたので、中古屋に行けばあるかもしれません。West End BluesはMythic SoundのEarl Bud Powell Vol. 1 "Early Years of a Genius, 44-48" (MS 6001-2)というCDに入っているのですが、今となってはこれを見つけるのは至難の技でしょう。幸運を祈ります。EpistrophyはThe Complete 1946-1949 Roost and Swing Masters(Bud Powell)に入っています。まあ、先ほどのボックスを買ってしまうと曲の大半がだぶるのですが…。あとは、ブルーノートの定番The Amazing Bud Powell, Vol. 1(Bud Powell)を買えば全部揃うというわけですね。

パーカーがらみの放送録音は、これまた様々な形でCDになっていますが、どれも廃盤のようです。厳密な意味でコンプリートに出たことはないはずなので、RLRとかGambitとかDefinitiveとかSo Whatとか、そのへんの怪しいブートレガーリイシューレーベルがちゃんとした形で出し直してくれませんかねえ。とりあえず現時点ではCBSから出た2枚の準(?)公式盤、One Night at Birdland(Charlie Parker)Summit Meeting at Birdland(Charlie Parker)を探してみてください。1947年のAll The Things You AreはIn the Land of Oo-Bla-Dee, 1947-1953(Allen Eager)に収録されています。

1953年以降の不安定な時期の録音は、幸か不幸か最も入手しやすい状態です。1953年のTea For TwoはBirdland 1953/Complete Trio(Bud Powell)、Burt Covers Budは大名盤のバド・パウエルの芸術(バド・パウエル/ジョージ・デュヴィヴィエ/カーリー・ラッセル/アート・テイラー/マックス・ローチ)、明らかに泥酔しているThe Best (Thing For You)はムーズ(バド・パウエル/ジョージ・デュヴィヴィエ/パーシー・ヒース/ロイド・ロットマン/アート・テイラー/アート・ブレイキー)、若干ましなDance of the Infidelsはザ・ロンリー・ワン(バド・パウエル/ジョージ・デュヴィヴィエ/パーシー・ヒース/アート・テイラー/ケニー・クラーク)、かなりましなSwedish Pastryはスインギン・ウィズ・バド(バド・パウエル/ジョージ・ディヴィヴィエ/アート・テイラー)、MMWもカバーしたBuster Rides AgainはTime Waits: The Amazing Bud Powell(Bud Powell)となります。

渡仏以降の録音に関しては、Buzzyがパリの舗道(バド・パウエル/クラーク・テリー/ズート・シムス/ピエール・ミシェロ/パルネ・ウィラン/ピーナッツ・ホランド/ケニー・クラーク/エリック・ピーター/ダニエル・ユメール/ルネ・トーマス)、1960年のAll The Things You AreはEssential Jazz Festival(Bud Powell)、映画「ラウンド・ミッドナイト [DVD](ハービー・ハンコック)」でも演奏されていたUna Noche Con FrancisはBlues for Bouffemont(Bud Powell)に入っています。All God's ChillunのIVはLive in Lausanne 1962(Bud Powell)、VはStrictly Confidential(Bud Powell)を探してみてください。

ニューヨークに戻る直前のエデンヴィル(エデンヴィーユ)録音は、これまたMythic Soundから出たEarl Bud Powell Vol. 8 "Holidays in Edenville, 64" (MS 6008-2)に入っていますが、見つけるのは難しそうです。私は結構好きなんですけれども。最後から2番めにかけた奇怪なコルトレーン曲は、アップスン・ダウンズ(バド・パウエル)に収録されています。昔出ていた輸入盤は日本盤よりも2曲多いので注意してください。一番最後にかけたI Remember Cliffordは私の個人的なコレクションです。あとの細かいことはBud Powell Discographyを参照してください。