My Human Gets Me Blues

Syndicate RSS Syndicate LIRS

2003|02|03|05|06|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|05|06|07|09|10|11|12|
2006|02|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|06|08|09|10|
2010|05|06|
2011|04|05|09|10|12|
2012|01|10|12|
2015|08|

2007-03-26

_ [Music] パウエルを聞け!

先週土曜日の講演には、予想外に多くのご来場を頂きありがとうございました。3時間近くの大音量パウエル漬け、しかも一部は必ずしも録音状態の良くない音源という、慣れていない方には拷問に近い長丁場だったのではないかと思いますが、パウエルの出来という見地からはあれ以上のチョイスはできないという自信があります。いわゆる「パウエル派」の面々とは隔絶した、本家ならではの圧倒的な凄味を体感していただけたならば幸いです。パウエルはジャズ史上の偉人としてよく言及される割に、最近では数枚の有名アルバムを除いてあまり聞かれていないような気がしてなりませんが、これを機会に再び関心を持って頂ければ。

_ かけた曲

講演終了後、かけた曲が入っているアルバムを教えてくれというご依頼がありました。残念ながら廃盤になっているものも多いのですが、分かる範囲で挙げておきます。

まず講演の前半、パウエルの若いころの録音ですが、Tempus Fugue-It(Bud Powell)という4枚組ボックスセットにあらかた入っているようです。あとで知って結構びっくりしました。最近はこんなものが出ているんですねえ。おすすめ。

これでAll God's ChildrenのIIIとWest End BluesとEpistrophyが入っていれば完璧だったのですが、あいにく漏れています。IIIを含めた1949年のカーネギー・ホール・クリスマス・コンサートの音源は様々な形でCD化されていますが、現時点ではどれも廃盤のようです。日本盤CDだとNORMAからAll Stars X'Mas Concert (NOCD5664)として出ていたので、中古屋に行けばあるかもしれません。West End BluesはMythic SoundのEarl Bud Powell Vol. 1 "Early Years of a Genius, 44-48" (MS 6001-2)というCDに入っているのですが、今となってはこれを見つけるのは至難の技でしょう。幸運を祈ります。EpistrophyはThe Complete 1946-1949 Roost and Swing Masters(Bud Powell)に入っています。まあ、先ほどのボックスを買ってしまうと曲の大半がだぶるのですが…。あとは、ブルーノートの定番The Amazing Bud Powell, Vol. 1(Bud Powell)を買えば全部揃うというわけですね。

パーカーがらみの放送録音は、これまた様々な形でCDになっていますが、どれも廃盤のようです。厳密な意味でコンプリートに出たことはないはずなので、RLRとかGambitとかDefinitiveとかSo Whatとか、そのへんの怪しいブートレガーリイシューレーベルがちゃんとした形で出し直してくれませんかねえ。とりあえず現時点ではCBSから出た2枚の準(?)公式盤、One Night at Birdland(Charlie Parker)Summit Meeting at Birdland(Charlie Parker)を探してみてください。1947年のAll The Things You AreはIn the Land of Oo-Bla-Dee, 1947-1953(Allen Eager)に収録されています。

1953年以降の不安定な時期の録音は、幸か不幸か最も入手しやすい状態です。1953年のTea For TwoはBirdland 1953/Complete Trio(Bud Powell)、Burt Covers Budは大名盤のバド・パウエルの芸術(バド・パウエル/ジョージ・デュヴィヴィエ/カーリー・ラッセル/アート・テイラー/マックス・ローチ)、明らかに泥酔しているThe Best (Thing For You)はムーズ(バド・パウエル/ジョージ・デュヴィヴィエ/パーシー・ヒース/ロイド・ロットマン/アート・テイラー/アート・ブレイキー)、若干ましなDance of the Infidelsはザ・ロンリー・ワン(バド・パウエル/ジョージ・デュヴィヴィエ/パーシー・ヒース/アート・テイラー/ケニー・クラーク)、かなりましなSwedish Pastryはスインギン・ウィズ・バド(バド・パウエル/ジョージ・ディヴィヴィエ/アート・テイラー)、MMWもカバーしたBuster Rides AgainはTime Waits: The Amazing Bud Powell(Bud Powell)となります。

渡仏以降の録音に関しては、Buzzyがパリの舗道(バド・パウエル/クラーク・テリー/ズート・シムス/ピエール・ミシェロ/パルネ・ウィラン/ピーナッツ・ホランド/ケニー・クラーク/エリック・ピーター/ダニエル・ユメール/ルネ・トーマス)、1960年のAll The Things You AreはEssential Jazz Festival(Bud Powell)、映画「ラウンド・ミッドナイト [DVD](ハービー・ハンコック)」でも演奏されていたUna Noche Con FrancisはBlues for Bouffemont(Bud Powell)に入っています。All God's ChillunのIVはLive in Lausanne 1962(Bud Powell)、VはStrictly Confidential(Bud Powell)を探してみてください。

ニューヨークに戻る直前のエデンヴィル(エデンヴィーユ)録音は、これまたMythic Soundから出たEarl Bud Powell Vol. 8 "Holidays in Edenville, 64" (MS 6008-2)に入っていますが、見つけるのは難しそうです。私は結構好きなんですけれども。最後から2番めにかけた奇怪なコルトレーン曲は、アップスン・ダウンズ(バド・パウエル)に収録されています。昔出ていた輸入盤は日本盤よりも2曲多いので注意してください。一番最後にかけたI Remember Cliffordは私の個人的なコレクションです。あとの細かいことはBud Powell Discographyを参照してください。