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2007-11-26

_ [Music] More Live at the Bee Hive / Clifford Brown

More Live at the Bee Hive(Clifford Brown/Max Roach Quintet)

ブラウニーの(公式には)未発表ライヴ紹介第2弾。「More」と言うことで本編の続編と言えば続編なのだが、こちらは1955年6月30日の「ビーハイヴ」における出演の記録ということで、11月録音の本編より半年ほど遡る。テナーもソニー・ロリンズではなく、当時はまだレギュラーだった前任者のハロルド・ランドだ。

これはオーディションだのジャムセッションだのではなくブラウン=ローチ双頭バンドの通常のライヴなので、すべて10分以上続く長尺の演奏でありながら、どちらかと言えば落ち着いたまとまりある快演が楽しめる。録音バランスも穏当で全楽器がちゃんと聞こえるし、音質は意外に良い(単に耳が慣れただけかも)。出だしのテーマが欠けているのを後ろから持ってきてくっつけたり、テープの劣化で音揺れがひどいソロの一部を削ったりと細かい補修は行ったようだが、違和感はほとんど無く、誰だか知らないが出した連中は良い仕事をしたと思う。

内容的には、このバンドによる公式録音は存在しないAfter You've Goneなんて古い曲を(20分以上も!)颯爽と演っていたり、バンドのメンバが一人ずつフィーチュアされるバラード・メドレーなんかもあったりして、当時のバンドのライヴのルーチンも伺える貴重な録音だ。ブラウニーはどの曲でも相変わらず、これだけトランペット吹けたらきっと楽しいだろうなあというくらいに吹きまくっているし、ロリンズの影に隠れがちなランドも豪放な吹きっぷりで後任とは違う個性を見せつける。やはり偉大な兄貴の影に隠れがちなピアノのリッチー・パウエルですら、特にCD1枚目の2曲目のブルーズでなかなかコクのあるソロをとる。バラード・メドレーにおけるフィーチュア曲My Funny Valetineの重厚なアレンジも、おそらく当人がやったのだろう。ピアニストとしてはともかく作編曲能力の高さが買われていたというのが納得できる仕上がりだ。最後を飾るWhat Am I Her For?につけた目が覚めるようなカッコいいイントロも素晴らしい。

おまけとしてCD2枚目の3曲目以降には、かつて「Pure Genius」というタイトルでLP化された1956年2月(推定)のライヴがそっくりそのまま収録されている。こちらはテナーがすでにロリンズに変わっているが、言うまでも無く同水準の好演。録音もバランスがあまり良くなくてベースがほとんど聞こえないが、ブラウニーの音の輝かしさはむしろこちらのほうがはっきり出ている。Daahoudにおける天馬空を行くかのようなソロがすごい。神がかっている。しかし、このバンドはやっぱりライヴのほうが数段演奏が良いなあ。