My Human Gets Me Blues

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2003-10-18

_ [Life] 高木浩光さんの批判に答える

高木浩光さんがで私のことを厳しく批判している。頷ける部分もあるが、承服しがたい部分もあるので、ここで反論しておきたい。

(ARTIFACTからお越しの方へ注意: 高木さんの批判(と私の反論)には、私が(ある種公の場として)コラムを書いているの記事への批判と、私がこのWeb日記や掲示板で書いた内容への批判が混在しています。ですから、Web日記全般に当てはまる話だとは思わないでください。)

まず頷ける部分だが、私がかつて書いたの出来が悪いのは事実だ。このときの私の批判は、おそらく佐藤一郎さんのへの本質的な批判にはなっていない。とはいえ、佐藤さんの文章が正しいのかといえばそんなこともない(今となっては、おそらく佐藤さんご自身もお認めになることだろう)。この問題に関しては、河邊径太さんによるが私のよりも本質を衝いていると思うので、ご一読をおすすめしたい。も併せてお読みください。

余談ながら、河邊さんのように直接私にメールで反応をくださる方はごくまれだ。そもそも、批判者を失った批判者ほど滑稽なものはない。私が読者からのフィードバックを大事にするのはそう思っているからだが、今後も読者のご叱正をお願いしたい。

さて、高木さんは、私が山形浩生さんの掲示板に書いたを、前後の文脈(後述)を全く考慮せずに引っ張って来て、以下のような批判(?)を加えている。掲示板や日記に書いたことをとやかく言われても困るという話はさておき、

これを見て、薄ら寒い思いがした。目つきのヤバい少年がナイフをシュッ・シュッと振り回しながら街を徘徊している情景が目に浮かんだ。

「目つきのヤバい少年」というのはなかなか秀逸な形容だが、私は見境いなくランダムに批判しているわけではないので、こういう言い方をされるのは心外だ。

日本ではそれがふつうなのかもしれないが、私は、書きっぱなし言いっぱなしは全く生産的ではないと思う。何かおかしなことを公の場で書くなり言うなりしたら、それが誰であっても批判されてしかるべきだ(もちろんこれは私自身に対しても当てはまる)。また、批判は一方通行であってはならないので、公開の場で、(第三者からを含む)反論を積極的に受け入れるような態勢で行われるべきだと私は考える。こういった開かれた議論が常に必要だと私は思うし、また現状まともな議論があまりにも足りないと思うのだ。まがりなりにも私はそれを実践してきたつもりである。それを「批判が自己目的化」などと誹られるのは遺憾だ。

ちなみに、私はある意味で「見境い」が無い。というのは、「身内」(というのも怪しい概念だが)を特別扱いしないからだ。GNU/Linux関係者だろうがオープンソース関係者だろうが、私は間違っていると思えば厳しく批判するし、これまでもそうしてきた。これは、多くのオープンソースプロジェクトで日々行われていることでもあり、そういう激しい議論のなかからコンセンサスなり問題点なりが浮かび上がってくるのである。私はオープンソースによるバザール開発において最も重要なのはオープンな議論だと考えているが、批判を許さない馴れ合いの土壌ではオープンソースが定着することもないだろうし、またちょっと批判されたくらいで全人格の否定と考えてしまうようなナイーブな人は、オープンソース向きとは言えないと私は思う。

このように彼は、以前から継続的に、叩きのめす獲物を探してまわっていたようだ。どうにも彼の記事には気持ち悪いものが残ると薄々感じていたが、そういうことだったらしい。

そもそも批判を書くには当たり障りの無い記事を書く数倍のエネルギーを要するし、残念ながら「獲物」とやらを探し回るほど私は暇ではない、という話はさておき。

今回の高木さんの批判において、私が最も高木さんに失望したのはここである。というのも、漠然とした印象に基づく批判は私が最も嫌うものだからだ。基本的に、私が何かを批判するときには、情報源(あるいは事実)を明示し、かつそれのどこを私が問題と思っているのかはっきりと示しているつもりである。特に、読者が私の思考を後で追えるように配慮しているし、批判された側が反論しやすいようになっていると思う。言い換えれば、私は、常に「原理的には反論可能な批判」を書いてきたつもりだ。しかし、この高木さんの批判のように「薄々感じていた」と言われても、私は反論しようがない。この文は単にそういった負のイメージを他者に植え付けるだけの意味しかないし、こういったことを高木さんのようなそれなりに影響力のある人物がするのは感心できることではないと思う。

また、高木さんは以下のようなことを書いている。

つまり、オープンソースというものが世に正しく理解されていない現状がある中で、オープンソースとは何かということを単純に正攻法で説明するのではなしに、オープンソースとは似て非なるものを挙げて違いを示してみせることによって説明に代えるという、効果的な説明手段のひとつだ。

これは高木さんとしては厭味のつもりで書いているのだろうと思う(そう思いたい)が、もし本気でこれが「効果的な説明手段」と思っているのであれば困ったものだし、これまでの高木さんのに泥を塗るものだ。私自身は、何かを持ち上げるために他のものを引っ張って来て貶めるという「手段」は、批判として最も忌むべきものだと思う。ちなみに私が坂村さんの一連の発言を見て批判したのは、基本的に坂村さんが(リップサービスなんだろうが)「TRONを持ち上げるためにLinuxを貶める」ということをやっていると思ったからだ。こういったことはすべきではないと私は思うのである。

なお、に関しては後に続編をjlcに書くつもりなのでここではあまり詳しく触れないが、記事発表後の反応を見ると、妙に納得してしまう人か、感情的に反発する(反論ではない)人しか見つからず失望していた(荒川靖弘さんにされたときは心底がっかりした。彼は、私への反論が書ける人のはずなのだ)。私が期待していたのは議論なのである。そこで山形さんの掲示板に自嘲を込めて「CC叩き」と書いたのだが、すぐ後に結城浩さんにされ、という経緯がある。ちなみにあの文章は結局のところ「物事を変えるにはインセンティヴの構造を変えなければ駄目だ、そのための戦略がCCにはありますか」ということを問うているにすぎないのだが、それを、いくら解釈は読者の勝手とは言え、高木さんのように「CCを叩いてオープンソース賛美」などと変に読まれては、筆者としては立つ瀬がない。そもそもいったいどう読めばそんな解釈ができるのか疑問なのだが。

また、高木さんは、

普通、「一般公開仕様許諾書」が「一般公開使用許諾書」の漢字変換ミスの可能性が高いことには容易に想像が及ぶだろう。彼は、続く段落の主張がしたいばかりに、その可能性を切り捨ててしまうようだ。

と書いている。のすぐ後には注が追記されているのだが、それすらも見えていないようだ。この件といい、先の文章の解釈といい、ようするに、結局高木さんも私を批判したいばかりに、他の可能性を切り捨てて自分に都合のよい解釈をしているにすぎないと思う。あるいは私を批判するために恣意的な引用を敢行しているのだろうか。だとしたら悲しむべきことだ。

さらに、高木さんの批判の最後には言い訳のように自戒のようなものが書き連ねられている。人の振り見て我が振り直せとは言うが、率直に言ってこれは「逃げ」だろう。私は、誰かを批判する際に自分に一切の逃げ場を作らないよう心がけている。ゆえに、自分が間違えていた場合にはきちんと責任をとる。これは私の個人的な倫理でしかないので、高木さんのような立場ある人にそれを要求するのは無理なのかもしれないが。

ちなみに、高木さんはこう書いている。

私の日記はどうだろうか。目的化してはいないはずだと思う。最近、書くことがなくなってきたのは、目的がある程度達成しつつあるからなのだから、そのはずだ。

うらやましい限りだ

_ [Life] 追記

今更気がつくなという感じだが、まあさっきまで気がつかなかったので。

そもそも高木さんは

だが、相手の意図を取り違えて批判することほど取り返しの付かないことはないのであるから、そこは慎重にしてきたつもりだ。また、公式性の高い文書(個人による文書ではなく、組織による文書)についてだけターゲットとするようにしてきたつもりだ。

と書いているのに、

  • 私の意図は取り違えるやら、

  • 私という個人への攻撃を敢行するやら、

  • jlcはともかく私の日記や掲示板への書き込みを難詰するやら、

言っていることとやっていることが全然違うではないか。私ですらそんなことはしていない(私が俎上に載せたのはどれも公の場に出た文章ばかりだ)。

まったくもう。

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