mhatta's mumbo jumbo

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シュナイダー One Change なら大人も使える

シュナイダーのローラーボール(852リフィル)についてはこのブログで何度も何度も書いていて、お前どんだけシュナイダー852が好きなんだと言われそうだが、スルスルという書き味がどうしようもなく好きですねえ。正直言って、いざ使おうとするとペン先が乾いていて使えないことが多い万年筆よりも好きだ。とうとうミミック・マイウェイまで買ってしまったよ。元々ミミック・パシフィックは持っていたが…。

それはさておき、シュナイダーのローラーボールの廉価版というと従来はBaseballBreezeというのがあって(使い捨てならOne Businessもある)、エルゴノミクスに配慮しているのは分かるがどちらも大人が使うにはやや気が引けるデザインではあった。ようするにドイツの子供の習字用だと思われるのだが、最近もう一つ、One Changeというのが出ていることに気づいたのである。私が気づいていなかっただけで2年くらい前からあったようだが…。

どことなくシャチを思わせるカラーリングで、結局は安っぽいのだが、One Changeと違ってこれはBaseball等と同じ替芯式のローラーボールなのですね。で、最初から2本替芯が入っているのだが、どうも見た目がどことなく852と違う。調べると、耐水性を上げたOne Change用のカートリッジというのがあるらしい。852と違って替芯の箱に型番号は明記されていないのだが、852の正確な型番は185203で、最初の1はよく分からないが最後の2ケタは色なので、今回の185403はおそらく854に相当するということなんでしょうね。

One Change用といっても替芯のサイズは同じなのでBaseball等に入れることも出来るが、書き味はあまり変わらないものの、やや色が濃いような気がした。私はどちらかというとこちらのほうが好みだが、ロイヤルブルーというか、もっと青々した発色が好きな人は852のほうがいいかもしれない。というか、One Changeもいいけど、ID Duoを再販してくれないかねえ…。

貝印の KAI コーヒーミル&ドリッパーで流れるように一人分のコーヒーを淹れる

コーヒーも凝り出すと際限が無いとは聞いていたが、元はといえばドトールやスタバ等の店でドリンクを買うかインスタントだったのが、ドリップバッグを使うようになり、次いで挽いた豆を買ってきてフレンチプレスで淹れるようになり、しまいには豆のまま買ってきて自分で挽くようになった。まあ、挽いた豆を買ってくると(おそらく空気に触れる表面積が大きいせいで)密閉容器に入れてもすぐ劣化して変な味になってしまうので、豆のままのほうが保存は効くのである。

電動のコーヒーミルは元々あるのだが、朝使うのは気が引けるくらいやかましいのとめんどくさいのとで、手動のミルを探していたらこれが見つかった。ステイホームの影響なのか相当人気だったようで、2ヶ月くらい欠品していて最近ようやく届いたのである。写真の見た目よりでかいが、まあ茶筒くらい。

上のミル部分はセラミックの臼なので、コーヒーに金属臭がうつらないのはいいのだが(案外力は要らない)、溝に残ったコーヒーは掃除しにくい。まあ個人的にはあまり気にしませんが…。

下がドリッパーになっていて、ペーパーフィルター(カリタの101 1~2人用がちょうど良い)を仕掛けておけば、豆を移さず挽いて即お湯を注げるというのがなかなか良い。プロダクトではなく行為のデザインという感じである。まあ、淹れたあとミルやドリッパーを置く場所がないのであるが…。もちろん挽いた粉をフレンチプレスなりなんなりに入れ替えて抽出することもできる。アウトドアでも使えそうだが、私はキャンプとか行かないので…。

Rhodia Clic Bloc マウスパッドは細かいところが気が利いている

昔から存在は知っているが買ったことや使ったことはないというものがいくつかあって、これなどはその筆頭だった。

今どきのマウスはマウスパッドなぞ要らないので買う必要もなかったのだが、諸般の事情により注文金額を2000円以上にしないといけなかったので(笑)、ついでに買ってしまったのである。

マウスパッドとしても座右のメモ帳としても使えますという、発想としてはやや貧乏くさい製品なのだが、さすがにRhodiaなので質は良い。実物を見ないと分からないこともあって、例えば私は写真からホチキス綴じだと思い込んでいたのだが、あれは単なる絵で、実は糊綴じなのだった。かなりびっくりした。まあマウスが引っかかるだろうから、ホチキス綴じのわけないけど…。

思うにこいつのキモは裏表紙のようだ。ちゃんと滑り止め加工が施されていて、マウスを動かしてもずれにくいのですね。だからマウスパッドとしてもちゃんと使える。こうした細かい配慮が、こんなキワモノに長い寿命をもたらしたのかなあと思った。

目には目を、陰謀論には陰謀論を?

最近VICE誌に面白い記事が載っていた。「反マスク論者、マスクをする準備中――ワクチン接種者から身を守るために」(Anti-Maskers Ready to Start Masking—to Protect Themselves From the Vaccinated)と題するもの。

新型コロナウイルス対策としてのマスクの強制に激しく抵抗する反マスク派、そしてワクチン接種に強く反対する反ワクチン派がいて、この二つがかなりかぶっていることはよく知られている。ところが最近になって、これらの説を信奉する陰謀論者たちの中から、マスクをしよう、ソーシャル・ディスタンスを取ろうと主張する連中が出てきたらしい。

この背景にあるのは、「排出(shedding)」説である。ワクチン接種者からワクチン(の中にある何か有害なもの)が「排出」され、近くの人、特に女性が影響を受ける。典型的には、生理不順や流産が発生するとされる。ソーシャル・メディア上で、自分はワクチン接種していないのに接種者の近くにいただけで流産してしまった、というような書き込みから広がった。mRNAワクチンが接種された場合、mRNAが排出されて周りの人の遺伝情報を改変してしまう、というような流派もあるようだ。

これは実のところ、反マスク・反ワクチン派の心情をうまく捉えたプロパガンダと言える。こうした人々は、別に健康に留意していないわけではない。むしろ必要以上に健康を気にしているのである。ただ、ワクチンは接種者を不妊化して人口を減らすための世界的陰謀だと思っているだけなのだ。ゆえに、この世界観に合致していて、しかもマスクやソーシャル・ディスタンスを正当化してくれるような「陰謀論」があれば、そちらを信奉するにやぶさかでないのである。従来こうした需要は、健康にはなりたいがビッグ・ファーマ(製薬大企業)は信用しない、ということで、怪しげな健康食品やサプリメントを売りさばく陰謀論ビジネスの格好の餌場になっていたのだが、それを封じられる可能性があるという点でも価値が高い。

個人的に興味があるのは、このプロパガンダが「意図的」に流されたものなのかどうかだ。結果として、公衆衛生としては好ましい結果になっているからである。アメリカにおけるワクチン接種も、あるところまでは順調に進んだが、それは元々ワクチン接種に積極的な層が相手だったからで、残りは反ワクチンか、少なくともワクチン接種に消極的な層と考えられる。この岩盤を突破できないと、集団免疫が達成可能な割合には到達できない。

陰謀論者を正面から説得するのが極めて難しいことはよく知られているが、ある意味今回の事例は、それをやってのけた。いわゆる「カモリスト」の存在やカルトホッピング(あるカルトを脱会した人は別のカルトに入信しやすい)などが示唆するように、陰謀論にはまった人は、世界観に似たところがある別の陰謀論にはまる可能性が非常に高い。ゆえに、目には目を、陰謀論には陰謀論を、というのは、ある意味で合理的な戦略とも言える。

しかし、いわゆるナッジ(人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする政策手法)を巡る議論でもよく出てくるように、これは結局のところ(それこそ陰謀論者が声高に批判するところの)「大衆操作」ではないか、という批判もありうる。そもそも陰謀論者は陰謀論者のままで、相変わらず陰謀論に脆弱なままなのである。また、ナッジが正当性を持つためには透明性の確保が重要だが、透明性の確保はおそらく陰謀論の陰謀論としての説得力を損ねることになろう。そもそも陰謀論同士の競争というのもありうるのである。前掲のVICEの記事によれば、「排出にマスクは効かない、やはりこれからは松葉で作ったお茶」という陰謀論がすでに登場しているそうだ。

isuzabu で椅子をアップグレード

ISUZBU イスザブ 椅子専用座布団 腰痛 坐骨神経痛 クッション ざぶとん 骨盤矯正 (マスタード)

大人数の講義はともかくゼミは対面授業でやれというお達しが来たこともあり、昨年よりは大学へ行って研究室で過ごす時間が増えた。自宅のバロンチェアと比べて研究室の椅子は正直今ひとつなのだが、備品なので買い換えたり捨てたりするのは何かと面倒くさそうである。ということで、試しにイスザブというクッションを買ってみた。私はしばらく前にアシストオンで安売りになっていたので買ったのだが、今は新バージョンが出たようだ。

ようは背もたれまであるクッションというか座布団で、中にはよくある低反発ウレタンではなくもっとごわごわしたもの(テイジンのV-Lapとかいう新素材らしい。縦型不織布?)が入っている。個人的にはあまり沈み込むよりも、これくらいの硬さのほうが好ましいように思える。また、低反発ウレタンのクッションは案外早くへたるという印象があるのだが、これはどうなるか楽しみだ。なお外は撥水加工された倉敷帆布らしい。

座布団なので尻が痛くならないのは当たり前だが、背もたれ部分は折りたたんでホックで留めることが出来、これをONモードと称しているのが面白い。確かにこうすると背筋が伸びてデスクワークでは快適である。安い椅子なら一脚買える値段ではあるが、ダイニングチェアのような底面が硬い椅子に座らざるを得ない人には、特におすすめできると思う。

SOGU φ4.5 MAGNETは極小だが強力

自宅の机には上に棚が付いていて、下にスチールの細いリブというか骨組みがある。ここにポストイットが貼れると便利なのだが、梨地仕上げのせいかうまく貼り付かない。そこで紙切れに書いてマグネットで貼ろうと思ったのだが、100均等のマグネットは大きすぎてリブからはみ出してしまう。ということで、探したらこれが見つかった。

名前の通り直径4.5mmと非常に小さいマグネットで、極小マグネットは大体磁力が弱くすぐ外れてしまったりするものだが、これはかなり強力である。ねじ(?)がはめてあって持ち手のようになっているのでつまみやすい。一個約150円とマグネットにしては高価だが、そんなに数が必要というわけでもないし、それだけの価値があると思った。

moca Tumbler 01は倒してもこぼれないのでよい

いつかはやらかすだろうなと思っていたのだが、やはりやってしまった。

自宅の机は狭いので、マイクは上の棚に載せて置いて使うたびに動かしていたのだが、動かした拍子にコーヒーを入れたマグカップにぶつけてひっくり返してしまった。幸い現在の机上は自分史上例を見ないくらいにきれいに片付いているので被害は少なかったが、それでも一面水浸しというかコーヒー浸しである。

というわけで、反省してふた付きのタンブラー的なものを探したのだが、このmocaというブランドのを買ってみたらなかなかよかった。単にふたをはめるのではなくねじ込む形式で、裏にパッキンもついているので横にしても逆さまにしても漏れない。怖いのでたぶんやらないが、リュックや鞄に入れても大丈夫そうである。

ふたの飲み口の構造もそれなりに凝っていて漏れないのだが、パチンと閉めやすいので飲んだらすぐ閉められるし、口が大きいこともあって洗いやすい。保温性はほとんど無いが、猫舌なので適当に冷めてくれるほうが良いという個人的事情もある。見た目もなかなか洒落ていて、色も豊富である。

まだ買っていないが 自転車用のホルダー もあるようで、そのうち買ってみるかな。

ローラーボールへの愛

はじめに

オバマ元大統領がユニボール・ビジョンエリートというペンを愛用している、という話がニュースになるたびに、むかし本ブログでビジョンエリートを取り上げた記事にも結構な数のアクセスが来るので驚かされる。

ビジョンエリートはローラーボール(水性ボールペン)の一種だが、そもそも日本ではローラーボールの知名度が低いように思われる。私自身は長いことローラーボールを愛用していて、日本でももっとユーザが増えるといいなと思っているので、俯瞰的な紹介を書いてみることにした。

ローラーボールの特長

水性と油性

ローラーボールは日本では水性ボールペンと呼ばれているが、何が水性かといえば、インクが水性なのである。インクは色素を何かに溶かしているわけだが、その溶かす相手が有機溶剤なら油性、水なら水性ということになる。ちなみにゲルインクもフリクションのインクも結局は水に溶かしている(らしい)ので水性の一種とされる。

一般に、油性インクのほうが粘度が高く、水性インクのほうが低い。ゆえにしばらく前までは、油性ボールペンと違って書き出しがかすれず、あまり力を入れなくても鮮やかな発色でなめらかに書ける、というのがローラーボールの売りだった。

こうした状況は近年大きく変わった。油性でもジェットストリームに代表されるような低粘度の新油性インクというのが普及し、なめらかな書き味が当たり前となったし、水性は水性で、耐水性や速乾性、にじみの点で油性に劣るとされてきたのだが、そのあたりを改善したのがゲルインクである。

ということで、冷静に考えるとローラーボールの技術的優位性のようなものは現在ではほとんど無くなってしまい、あらかたゲルインクに市場を食われてしまっているのだが、それでも水性ならではの書き味というのは依然としてある。ゲルインクは油性ほどではないにせよ粘度が高いので、純粋な水性とはちょっと感触が違う。 サラサラクッキリ紙面を滑るような書き味 が水性ボールペン独特の魅力で、まあトラブルも多いし万人向けとは言いがたいものの、いったんはまるとなかなか抜けられないのである。

なお、水性ボールペンの字幅は大体嘘ばっかりなので注意が必要だ。例えば0.5mmとあったらそれは大体0.7mmくらいなことが多く、細字と言うなら中字ないし太字相当と思って買ったほうがよい。

多くがキャップ式

厳密にはローラーボールの特性ではないが、ローラーボールは水性インクのせいかペン先が乾きやすいとされていて、多くはノック式ではなくキャップ式である。ノックと比べてキャップを開ける一手間が増えるが、ペン先が固定されているのでぐらつきにくく、ストレスフリーに筆記できるというメリットもある。もっとも最近では耐乾性の替え芯も開発されていて、ノック式のローラーボールも存在するのだが…。

直液式と中綿式

水性ボールペンを大雑把に分けると直液式と中綿式の2種類になる。インクを液体のままペン軸に入れているのが直液式で、インクを綿やスポンジにしみこませて替え芯に内蔵しているのが中綿式だ。例えば先出のビジョンエリートは直液式なので、軸の中でインクがチャプチャプ動くのが見える。

水性らしさが全開なのは直液式で、私自身もどちらかといえば直液式を好む。インクが豊富に出るのでかすれ知らずだが、その反面、紙が薄いと往々にして裏抜けしてしまう。中綿式も悪くはないが、何というか、インクを「置く」ような感触がある。こちらも独特の書き味である。欧米でよくある高級ローラーボールのリフィルは大体中綿式。

樹脂ペン先

ただでさえニッチなローラーボールの、さらにニッチなサブジャンルが樹脂ペン先のボールペンだ。通常ボールペンのペン先は金属で出来ているのだが、これが樹脂になっているものがあって、これまた非常に独特な書き味を獲得している。私はこうした樹脂ペン先のペンが大好きなのだが、詳しくは昔書いた記事を参照。

代表的なローラーボール

順不同というか思いついた順である。

パイロット

パイロットのローラーボールと言えばVコーンである。直液式の代表格で、とりあえずローラーボールなるものを体験してみたいという人にはこれを勧める。ただしデザインがダサい。なお去年(2020年)突然ノック式のVコーンノックが登場して世間(たぶん10人くらい)を驚倒させたが、悪くはないけど、水性らしさという意味ではちょっと性格が違うペンのような気がするな…。

ユニボール(三菱鉛筆)

オバマでおなじみビジョンエリートを擁していたユニボールというか三菱鉛筆だが、ビジョンエリートは日本でも世界でももはや廃番のようだ。ビジョンエリートのブルーブラックが良かったんだけどな…。昔はプロテックというのもあったのだがもう流通在庫のみのようで、今も作っているのはこのユニボールアイだけのようだ。これもVコーンと双璧を成す直液式の雄で、デザインがいかにも事務用品然というか、Vコーンとは違った方向でダサいのも共通している。書き味はビジョンエリートと良く似ている。また、ペン先が金属ではなく樹脂で独特の書き味を持つユニボールエアというのもある。

トンボ

トンボの水性ボールペンも直液式で、これまたやたらにインクが出る。若干出過ぎなくらいである。Vコーン等のような使い捨てではなく替え芯式なので様々な軸があるが、定番はZOOM505のハバナだろうか。値段の割に高級感のある軸で、絶妙な太さと相まって非常に書きやすい。プロの物書きでこれを使っている人を何人か知っているが、これもローラーボール最初の一本として勧められる。

トンボZOOMの軸は505の発展系?の535とかカーボンファイバー&ジュラルミンで超軽量な101とか、今や伝説と化した2000とか、ピーキーで先鋭的でかつ実用性も高いデザインのものが多かったのだが、大体廃番のようで残念。日本がだんだん貧乏になっているのと歩調を合わせているようで悲しいですね。

シュナイダー

ドイツのメーカー、シュナイダーは様々なローラーボールを出しているようだが、私にとってシュナイダーと言えば852である。この直液式で樹脂ペン先なカートリッジを入れたペンがいくつかあって、最も有名なのがベースボールだと思うが、人生一度は試してみる価値がある。詳しくは昔書いた記事を参照。樹脂ペン先のローラーボールでOne Businessというのもある。

あとまあ、これは趣味の世界だが、ぎんざ五十音信頼文具舗で扱っている高級鉛筆補助軸のミミックというのがあるんですけれども、これにゴムを巻いた852(このページの「ミミック対応RB替芯」というやつ)を装着すると、なんといいますか、官能的な書き心地が楽しめる。2万円くらいおこづかいがある人はやってみるとよい。

スタビロ

スタビロのバイオニックワーカーについては以前も書いたが、直液式でなかなかのローラーボールである。しかしこれに限らずローラーボールの弱点の一つは、まともな外見の軸が少ないということですよね…。

エルバンその他

ちょっと特殊なローラーボールとして、万年筆用のインクを入れるものがある。カートリッジにもコンバーターにも対応していることが多い。このエルバンのやカキモリのローラーボールが代表格的か。個人的には、この種のものは気密が悪いのかすぐペン先が乾いてしまう印象があり今ひとつなのだが、万年筆用インクには膨大な色の種類があるので、色にこだわる人なら試してみる価値はあるだろう。

オート(C-300系)

このあたりから中綿式である。中綿式のローラーボール・リフィルは大雑把に分ければC-300系、ヨーロッパ標準系、モンブランやパーカーなどそれ以外の独自規格という感じになるのだが、C-300系を開発したのが日本のメーカーOHTOだ。というか、そもそもローラーボールというものを1964年に発明したのがOHTOらしいのだが、その割に影が薄いのは、芯は優れているのにフラッグシップと言えるような軸が無いからなんでしょうねえ。

C-300を使ったローラーボールは、例えば万年筆で有名なPerikanのスーベーレーン(Rシリーズ)がそうなのだが、OHTO自身が出している軸だとリバティがおすすめである。1000円しないとは思えない質感で、書き味も抜群だし、しばらく使っているとそのうちグリップ部のゴム?から消毒剤みたいな臭いがしてくることを除けば、中綿式ローラーボール最初の一本としておすすめできる。

私はまだ持っていないのだが、どうも最近リバティは廃番になったらしく(細軸だけの名称になった?)、後継がセルサスのようだ。基本的に名前を変えて値上げしただけのように見えるが、ゴムは改良されたのかな?

あとは、よほど売れなかったのかあっという間に市場から消えてしまったノックローラー・オーというのが面白かった。後述のLAMY Swiftと並ぶ、 ノック式 の中綿式ローラーボールという珍しい存在である。見つけたら手に入れる価値はある。

ファーバーカステル(ヨーロッパ標準系)

ヨーロッパ標準とC-300は実は微妙に互換性があり、大体両方とも使えるのだが(カルティエのように、見た目はほとんどヨーロッパ標準のくせに微妙に寸法が違って入らないという嫌がらせのようなブランドもある)、それはさておき、ヨーロッパ標準リフィルを採用したファーバーカステルのベーシックも優れたローラーボールである。

昔は木軸とか革巻きの軸もあって良かったのだが、もう廃番なのかな。日本では買えないのだが、海外だとLoomというシリーズもあって、そちらのほうがどちらかといえばおすすめ。もちろん、金に糸目を付けないなら高級軸は他にいくらでもあります。

ラミー

LAMYにはローラーボールの系統がいくつかあって、普通はLM63という替え芯なのだが(Safariとかのローラーボール替え芯はこちら)、個人的にはLM66を使った軸を好んで使っている。具体的にはLAMY SwiftLAMY Tipo、あるいはLAMY Dialog 2のラインである。キャップレスでも乾かないという珍しいローラーボール芯なので、Swiftなんかは昔からノック式なんですよね。くせが強く好き嫌いが分かれる芯だが、私は好んで使っていて、殴り書きにはこれ一択である。LAMYのローラーボールについては昔書いた記事も参照。

シュミット8126

欧米には替え芯だけ作っているというメーカーがあって、その一つがシュミットである。洋物の高級ローラーボールはシュミットのリフィルを採用しているところが多い(油性のイージーフローも有名)。シュミットはヨーロッパ標準(588系)も作っているが、独自規格のリフィルも作っていて、代表的なのが8126である。キャップをしなくてもインクが(しばらく)乾かないという高機能リフィルだが、自身は今は亡きイタリアのメーカー、オマスのローラーボールを持っている。そのあたりについては、リフィルの入手法も含めて昔のブログ記事で書いた。

ぺんてる

ぺんてるはかつてローリングライターという高級水性ボールペンを出していたようだが、今はボールPentel一本のようだ。これは樹脂ペン先の特異なローラーボールで、なんとも曰く言いがたい書き味を持つ。私はボールPentelが大好きなのだが、そのあたりの話は昔のブログ記事でこってりと書いた。

軟水に微炭酸は向いていないのかも

サンタンナ イタリアアルプス 天然水 炭酸水 500ml×24本

最近微炭酸ないし弱炭酸水にはまっているのだが、先日取り上げたサンペレグリノとサンベネデットに続き、知り合いに勧められたサンタンナを試してみた。なんだかタンサンみたいな名前ですがSant’Annaなので全く関係無い。

サンペレグリノ等と違い、日本の水と似た軟水で微炭酸という珍しい存在なのだが、飲んでみて、日本のメーカーが強炭酸ばかり出している理由が分かったような気がした。軟水で炭酸が弱いと、炭酸独特の酸味が強く出るのですね。気にならない人は気にならないのだろうが、苦手な人はいると思う。別にまずいというわけでもないのだが、私も、サンベネデットくらいのコクがあったほうが飲みやすいように思った。世の中どんなことにもそれなりの理由はあるというか、なかなか難しいものですね。

モーレツ! Org mode 教室 その9: org-roam でアイデアをひねり出す

はじめに

去る2020年、EmacsというかOrg mode界に超新星のごとく現れた(世間的には6等星くらい)のがorg-roamである。なんでもRoam Researchというメモ取り支援ウェブサービスがあるんだそうで、Org mode上でそれと似たようなことをしようというコンセプトのようだ。

ルーマンのカードボックス・メソッド

org-roamのマニュアルにもあるように、この種のものの源流は社会学者ニクラス・ルーマンがやっていたというZettelkasten(カードボックス)メソッドらしい。ルーマンは多作で知られたが、その秘密は彼が書きためた情報カードにあったそうな。

自分の生産性の秘密は、ブナ材でできた24区画の分類記号のないボックス、ビーレフェルトのカードボックスである、とルーマンは説明していた。 30年以上にわたって、ルーマンはこのボックスを使って仕事をした。彼はすべてを書き留めた。詩、中世貴族の宣誓書、専門論文の参照情報。彼は文献が「カードにとれる」かどうかを確かめ、理論の一部、関連づけの可能性を書き留め、八つ折り版のカードに文字数字併用の略記法で分類記号を書き、さまざまな順序に並べた。世界の在庫目録である。

実のところいろいろ読んでも、ルーマンが大量にカードを書いてユニークなID番号を振っていたことまでは分かるのだが、それらを具体的にどう結びつけていたのかはよく分からない。おそらくは折に触れてカードをぶちまけて、自分の目で見て関連付けていたのだろうが、そのあたりをコンピュータにやらせようというがorg-roamである。日本だと京大式情報カードKJ法が思い浮かぶ人が多いかもしれない。使ってみた感じとしてはScrapboxObsidianにも通ずるところがある。

近年コンピュータ・プログラミングでは、コードを補完してくれたりいろいろプログラマの世話を焼いてくれるIDE(統合開発環境)というのがよく使われるが、org-roamは 一般物書き用のIDE になるポテンシャルを秘めているようにも思った。

インストールと設定

下準備として、Emacs(やOrg mode)に加えて

  • SQLite(簡易データベース)
  • Graphviz(グラフ描画)
  • riprep(高速grep。オプショナルというか、リンクされていないカードを探すのには必要)

がいる。GNU/Linuxならどれも大概パッケージ化されているのですぐインストールできるだろう。少なくともDebian/Ubuntuには全部ある。

Windowsの場合、SQLiteは配布ページの「Precompiled Binaries for Windows」の中の sqlite-tools-win32-*.zip を落としてきて、中の sqlite3.exe (他のDLL等は要らない)をどこか PATH の通っているところに置く必要がある。GraphvizはWindows用インストーラが用意されていて、インストールの途中で途中でPATH環境変数を設定するかと選べるので、チェックして設定するとよい。ripgrepは、scoopchocolatey等でインストールできる。MacOSのことはよく知りませんが、やってみればなんとかなるんじゃないでしょうか。

あとはorg-roam本体をMELPA等からインストールすればよい。第6回で取り上げたstraight.elを使っていれば、 ~/.emacs.el/init.el のorg関連記述の後に、

(use-package org-roam
  :after org
  :defer t
  :hook
  (after-init . org-roam-mode)
  :custom
  (org-roam-db-update-method 'immediate)
  (org-roam-db-location "~/.emacs.d/org-roam.db")
  (org-roam-directory "~/ownCloud/Org/org-roam/")
  (org-roam-index-file "~/ownCloud/Org/org-roam/Index.org")
  :bind (:map org-roam-mode-map
              (("C-c n l" . org-roam)
               ("C-c n f" . org-roam-find-file)
               ("C-c n g" . org-roam-graph))
              :map org-mode-map
              (("C-c n i" . org-roam-insert))
              (("C-c n I" . org-roam-insert-immediate)))
  )

などと書いておくだけで、次回Emacs起動時に他に必要なものも含めて一式勝手にインストールされるので便利である。遅延読み込みにしているので、使いたいときに M-x org-roam-mode を手で実行する必要があるかもしれない。

設定の注意点として、情報カードというかOrg記法で書かれたノート自体(*.org)と、SQLiteが生成するデータベース(*.db)は別物で、現時点ではデータベースは(ファイル名をフルパスで保存するから?)環境依存らしいということである。よって、ノートはownCloudやDropboxといったクラウドストレージに保存して複数マシンで共有できるが、ノート間の関係性を保存するデータベースは個々のマシンで用意し、必要に応じて再生成する必要がある。上の例では、org-roamのノートはownCloud上、データベース(ここでは org-roam.db )はローカルのEmacsの環境設定ファイルと同じディレクトリに生成するようにしてある。データベースは M-x org-roam-db-build-cache で手動再生成できる。

また、Graphvizが出力するグラフはSVG形式で、Emacsのビルドによってはネイティヴに扱えないこともあるので、特にWindowsの場合はビューワを自分で指定しておくとよい。Windowsで一番手頃なSVGビューワはウェブブラウザなので、例えばFirefoxを使うなら

(when (eq system-type 'windows-nt)
  (setq org-roam-graph-viewer
        (lambda (file)
          (let ((org-roam-graph-viewer "c:/Program Files/Mozilla Firefox/firefox.exe"))
            (org-roam-graph--open (concat "file:///" file)))))
)

などとするとよい。ウェブブラウザはローカルのファイル名を直接渡されても読んでくれないので、 パスに file:/// を追加するようにしている。

具体的なワークフロー

org-roamには充実したマニュアルが用意されているが、この種のものにありがちというか、 そういう機能があることは分かったがどう使えばよいかわからない というところが多々あるので、具体例をベースに説明しよう。我流な上に5分くらいででっちあげたので大したものではないが…。

仮に、音楽というかジャズに興味があり、ジャズに関するノートというかカードを書きためていたとしよう。ノートを作成したり編集するには、上の設定例だと C-c n f を押す。Emacs名物の3連続打鍵である。

#+title: チック・コリア

ジャズ・ピアニスト。2021年没(79歳)。

org-roamにおいては、ファイル名はあまり重要ではなく(自動生成されるが、これも設定で変更可)、 #+title: に書くタイトルが重要だ。これがカードの見出しとなり、補完対象となる。あとは、普通にOrg記法で中身を書いていけばよい。紙の情報カードと違って、好きなだけ量を書ける。

他のカードにリンクを張るには、 C-c n i である。すでにそのタイトルを持つカードがあれば補完対象となり、無ければ新規に作成される。リンクは実のところ単なるOrg modeのリンクなので、直接編集することも不可能ではない。

で、ある程度カードが貯まったら、 C-c n l を押すと、そのカードにリンクを張っている他のカードとその位置(バックリンク、リンク元)が表示される。

上の例では、「チック・コリア」というカードに、「サークル」というカードと「リターン・トゥ・フォーエヴァー」というカードの「メンバ」という項目からリンクが張られていることが分かる。ちなみに、サークルとかリターン・トゥ・フォーエヴァーというのはチック・コリアが参加していたバンドの名前です。

また、 C-c n g でカード間のリンク関係を示すグラフが生成される。人間がやることはなく、レイアウトも含め全自動で出力してくれる。

で、ここからはご都合主義というか例のための例という感じだが、上のグラフを眺めると、ジャズに土地勘がある人はなんとなく気がつくことがある。チック・コリアは最近亡くなってしまったが、フュージョンという昔大衆的人気があったジャンルの開祖の一人で、リターン・トゥ・フォーエヴァーもフュージョンの代表的なバンドの一つだ。よって、チックという人は大衆的でポップな音楽をやっていたと世間的には思われていて、その線で論じられることが多い。

ところがグラフを見ると分かるように、今となってはほとんど忘れられているが、実は若いころのチックはサックス奏者のアンソニー・ブラクストンとサークルというバンドを組んで、ごりごりのフリージャズというか前衛音楽もやっていたのである。なので、「前衛としてのチック・コリア」というのは、チックについて何か書くなら目先の変わった良いテーマになりそうだ。こんなふうに、org-roamを使うとグラフからアイデアをひねり出すことが可能となる。

今後の課題

ベーシックな使い方は上で尽きていると思うが、他にも工夫の余地はいろいろある。

例えば、デフォルトでGraphvizの吐くグラフは見た目が今ひとつしょぼいのだが、Org modeの伝統というか、例によってサードパーティによる拡張が佃煮にするほど開発されており、ちょっと設定が面倒だがorg-roam-serverを使うとウェブアプリとしてorg-roamデータベースをナウく可視化したりズームしたりすることもできる。また、結局org-roamもOrg modeの拡張なので、書きためたカードは好きな形式でエクスポートすることができ、自分のノートをウェブで公開している人もいる。このあたりの融通無碍な感じがOrg modeぽくてよいですね。