My Human Gets Me Blues

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2008-05-02 [長年日記]

_ G15アソシエーション はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

というものができて、私もメンバの末席を汚すことになった。そのうち何か記事を書くかも。

G15の設立は我々ある種の当事者にとっては重要なことなのだが、おそらくこの日記の読者の90%くらいには今も今後も関係ない話である。それはそうと脚本主演演出なmrmt先生に感謝。

Tags: OpenSource

_ Jazz / Jazz Live はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

Live

今となっては知っているのは物好きなオッサンだけだろうが、昔The Theという名前のバンドがあった。私はオッサンではないが物好きではあるので、Infectedなんかは今でも好きでよく聞いている。

で、これをいざCDで買おうとすると、ちょっと前までは大変だったのである。探すのが大変だったんだが、その理由は廃盤でレアだからとかではない。「The The」じゃ単語としてあまりに当たり前すぎて、Amazon.co.jpだと検索に引っかからなかったのだ。今は一応検索キーワードをクォートでくくると引っかかるようになったようだが、全く不便な話である。

日本産ながら、同じような問題を抱えているのがこのアルバムだ。サックスの清水靖晃が中心となって結成されたグループ*1の、1982年今は亡き六本木ピットインにおけるライヴ盤なのだが、グループ名が「JAZZ」、そしてアルバムのタイトルが「Jazz Live」なのである。当然こんなキーワードでは検索できないし、Amazon.co.jpでは、なぜか清水の名前では引っかからない。そんなわけで、そもそもこれがCD化されていることに気がついている人はかなり少ないのではないか。もちろん私はつい最近まで気づいていませんでした。

内容としては、何と言うか、いかにも1980年代というか、「メタジャズ」「ポストモダン・ジャズ」というような形容が見事に当てはまるもので、第三者的、批評的な視線を強く感じる。このような醒めた音の感触そのものはジョン・ゾーンのSpillaneあたりにとても近いのだが*2、あれやネイキッド・シティのようなコラージュ/コンデンス・ミュージックではなく、やっていること自体はフュージョン(というかステップス)ぽいとは言え普通の4ビートジャズである。そもそもライヴだし、演奏そのものは熱演といっても良いくらいなのだが、どこか「姿勢としての」クールさを感じるということなのだ。「チュニジアの夜」や「オール・ザ・シングス・ユー・アー」のような大スタンダードをあえて取り上げていることから見ても、このような空気は意図して醸し出されたものなのだろう。なお、菊地成孔さんの東京大学のアルバート・アイラー―東大ジャズ講義録・キーワード編(菊地 成孔/大谷 能生)を読んだ人にとっては、あの本の最後のほうで自らの音楽理論、あるいは理論というものそのものについて熱く語っていたラング・メソッドの濱瀬元彦氏が自作曲を提供する一方、ジャコパスばりにフレットレスベースを弾きまくっているという点がちょっと興味を引くかもしれない。加えてキーボードを弾いているのは、後年スピッツやPUFFYのプロデューサーとして名を成した笹路正徳である。

Tags: Music

_ メディアマーカー はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

蔵書管理サービス。なかなか便利そうなので使い始めてみた。すぐ飽きそうだが…。

Tags: Life

*1 MARIAHと面子がかぶっている

*2 ナレーションが入ってるからそう思うだけだろという意見もありそうだが


2008-04-30 [長年日記]

_ LとR はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究(菊地 成孔/大谷 能生)

たかだかA4 4ページの原稿を、こんな時間(いま朝の4時です)になっても仕上げられないので頭に来た。以下は気分転換というか現実逃避のちょっといい話。

私の昔の英語の先生は、「LとRの発音がきちんとできないと海外ではお米の代わりにシラミが運ばれてくる」というようなことを抜かして生徒を脅かしていたものだ。まあ、確かにLice(シラミ)とRice(米)、LとRで大違いではあるが、ライスと言って実際にシラミが皿いっぱい運ばれてきたら、それは発音どころではなくもっと本質的な意味でヤバいところにきてしまったと観念すべきだろう。それはともかく、LとRは、日本人には発音や聞き取りも難しいが、綴りのレベルでも結構難しい。Light/Rightくらいでもうっかりすると間違える。

以前、Saturday Night Fish Fryという曲のタイトルをずっとSaturday Night Fish Flyだと勘違いしていたという話を書いた。土曜の夜に魚飛ぶ、かと思っていたら実はフィッシュフライ、魚の揚げ物(を食べるパーティ)についての曲だったと言うオチだ。同じ曲名の話だと、ボブ・ディランの有名な作品でIt's Alright Ma (I'm Only Bleeding)というのがある。こちらも私は、実のところつい最近までI'm Only Breedingだと思っていて、漠然と何か家畜でも育てる話なのかなあと思っていたのだが、きちんと歌詞を読んでみたらこれが全然違う内容だ。もちろん、「大丈夫さママ、僕は(ギロチンで首を切られて)血を流しているだけ」ということですね。

そういえば、古典的なコンピュータゲームに「ロードランナー」というのがある。黄金を集めつつ穴を掘って敵を埋めていく(あまつさえ生き埋めになっている敵の頭を踏みつけたりもする)大変非人道的な愉しいゲームで、私も昔はよく遊んだものだが、私が知る限り日本人の80%以上はあれをRoad Runnerだと思っているようだ。もちろん、ただの道ではなく「Lode」、金鉱の坑道を駆けめぐるという設定のゲームなので、Lode Runnerが正しい。

最近だと、菊地成孔/大谷能生の大著M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究(菊地 成孔/大谷 能生)を読んでニヤニヤしてしまった。この本は東大駒場で2005年に行われた、天才音楽家マイルス・デイヴィスに関する授業の講義録をまとめたもので、例によって語り口はとても面白いし、内容がいい加減ということもないのでおすすめなのだが、なぜかpp.531の楽譜に「Recture of Miles」と大書してある。たぶんLectureの間違いだろう。どうやら2002年の講演から同じ譜面を使い回しているようなのだが、誰も指摘しなかったのかねえ。なにせ中盤の目玉、オン・ザ・コーナー楽曲分析のカギとなる重要な譜面なので、ものすごく目立つのである。

(2008/5/2 追記)現在のtDiaryの仕組み上、ツッコミを入れた人がご本人かどうかきちんと証明する手段はないのですが(まあOpenIDあたりがもうちょっと普及すれば可能になると思うけど)、この記事についている「菊地成孔(本物です)」さんのツッコミは、菊地成孔さんご本人が書いてくださったものです。その旨別途メールを頂きました。

Tags: English
本日のツッコミ(全5件) [ツッコミを入れる]

Before...

_ 菊地成孔(本物です) [  さきほど八田さんにもメール差し上げたのですが、上記のお二人(お一人?)はワタシではありません。とはいえ、本物が..]

_ 菊地成孔(本物です) [ あ。載せられた。昨日、何度書いてもアップされなかったのでメールを送ったのです。やってみます。昨日書いたものです。..]

_ 菊地成孔(本物です) [  しまった(笑)。「あのM直しますか?」じゃないですね。「あのR直しますか?」です(笑)、こういうのを、そのまま..]


2008-04-28 [長年日記]

_ Gumbo! / Booker Ervin, Pony Poindexter & Larry Young はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

Gumbo

今更ながら、音楽プロデューサーのオジー・カデナ(Ozzie Cadena)が亡くなっていたことに気づいた(NY Timesの追悼記事)。70年代以降は西海岸に引っ込んで悠々自適、83歳の大往生。こうしてNYTにObitも載り、総体としては悪くない一生だったようである。

カデナの仕事として一般によく知られているのは、50年代を通じて雇われA&Rマンとして采配を振るったサヴォイ(Savoy)・レーベルの諸作だろう。財布のひもが大変に固い*1頑迷なオーナー、ハーマン・ルビンスキと人材難*2に悩まされつつも、カーティス・フラーのブルースエットを筆頭に日本でも馴染み深い数々の名盤を送り出すことに成功している。プロデュースに際立った個性はない(出さない)代わり、子供のころから養った黒人音楽への見識を活かし、押さえるべきところは押さえた弛みのない音づくりを心がけていたようだ。そのせいか、カデナが手がけたサヴォイ盤は、ジャケのデザインが揃いも揃ってマヌケでも、全然聞いたこともないようなマイナーなリーダー/サイドメンの作品であったとしても、完全な大ハズレということは少なく、それなりに聞き所があることが多いのである。

ということで、カデナを偲んで何かサヴォイのアルバムを一枚挙げようかとも思ったが、サヴォイを辞めたカデナが次に行ったのがプレスティッジ・レーベルで(エズモンド・エドワーズの後任)、しばらくコテコテのソウル・ジャズもプロデュースしていた、というのはあまり知られていないようなので、そのへんからこれを引っ張り出してみた。ブッカー・アーヴィンのリーダー作のように見えるが、本来はポニー・ポインデクスター名義の作品である。

放っておくと垂れ流しというか締まりのない演奏に終始しがちなポインデクスター(とアーヴィン、アル・グレイ)に、ポインデクスターの出身地ニューオリンズという明確なテーマを与え、軽快で華やかな演奏に仕立てている。オルガンも入っていないし(ちなみにピアノはギルド・マホネス)、この作品に関して言えばとりたててコテコテというほどではないのだが、率直に言って二線級な人材をかき集め、かつ各人の長所(例えばポインデクスターは非常に情景描写的な良い曲が書ける)を活かしてなかなかの聞き物に仕立てるというあたりが、非常にカデナ的だと思う。

おまけとしてアーヴィンやグレイ抜きの演奏が3曲、こちらはポインデクスターがいかにも垢抜けない歌を歌っていたりして絶望的にぱっとしないのだが、最後に今度はポインデクスター抜きの、アーヴィンのオルガン・トリオによる完全未発表録音が5曲も入っていて、こちらは思わぬ掘り出し物だ。アーヴィンの相方のオルガンというとドン・パターソンというイメージが強いのだが、ここではなぜかラリー・ヤングと一緒に演っていて、これが非常にカッコいい。レパートリー的にも、たぶん他にヤングによる録音は存在しない「枯葉」「オールド・フォークス」あたりを演っているので、後年「オルガンのコルトレーン」の異名を取ったヤングがこの時期この手の曲をどう料理しているか、そういった点でも興味深いと思う。

Tags: Music

_ シンポジウム「青少年ネット規制法について考える」 はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

というタイトルのシンポジウムを世田谷でやることになりました。今週木曜ということでかなり急な話ではありますが、参加案内はこちら。この手の話題に興味があり、お時間の取れる方はふるってご参加ください。

Tags: MIAU

*1 契約がらみでジミー・スコットをいじめたことでも有名

*2 カデナが乗り出したころは、ハードバップ・ブームを担った優秀な人材はすでに多くが他のレーベルに押さえられてしまっていた。おまけにオーナーがケチだから金で引き抜かれることはあっても引き抜くのは難しい。カデナはケニー・クラークとの個人的交友関係からどうにかこうにか人材を確保していたようだが。頼みのクラークも1956年には渡欧してしまうことになる。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ hypertension Ozzie guillen [Ozzie guillen relationship http://ozzie-guillen.barerube...]


2008-03-22 [長年日記]

_ 機内で見た映画 はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

飛行機の機内で眠れた試しがない。今回も枕を持参したりいろいろ工夫はしたのだが、結局無理だったので行きも帰りもおとなしく映画を見ていた。ラップトップ広げて仕事をしようとも思ったのだが、狭い席にぎちぎちに詰め込まれているもので、なかなかそれも難しく…。

日本でも公開されたものとしては、「The Jane Austen Book Club(ジェーン・オースティンの読書会)」「Enchanted(魔法にかけられて)」「Rush Hour 3(ラッシュアワー3)」あたり。この中では「Enchanted」が出色で、ゲラゲラ笑った。ここまでやるかね。自己言及的というか、偶像破壊的というか、手抜き無しのお遊びに恐れ入りました。まだ日本の映画館にはかかっているようなので暇なら見に行くといい。

「Rush Hour 3」では真田広之がフツーにフツーな英語をしゃべっていて(それに引き換えジャッキー・チェンの日本語は浮きまくりで)、こちらも恐れ入った。さすが国際派俳優(死語)。プロットやアクション自体にはちょっと出がらし感があったが、あれこいつはポラ…というような面々がカメオというより堂々とそれなりの役で出演していてちょっとおもしろかった。工藤由貴も例によってかわいい(ヒロインは正直あんまりかわいくないので余計に)。「Jane Austin〜」は私好みのアンサンブル・プレイだったのだが、ぼんやりしていたらしくあまり覚えていない。ああいう読書会て、最近ではポピュラーなんですかね。

日本未公開のものでは、「Alvin and The Chipmunks」「King of California(カリフォルニア・トレジャー)」。前者は昔のアニメの実写化で、話自体はおもしろいくらい展開が読める定跡通りの代物なのだが、実写と特写のブレンド具合がすごい。これは恐れ入った。なんというか、ここまで出来るようになったんですね。あと、シマリスどもの声が「はじめてのチュウ」のあんしんパパに聞こえて参った。なつかしすぎる。ヒロインのキャメロン・リチャードソンはなんだか浜崎あゆみにも通じる人工美というかロボット感があって良い。

後者は「カリフォルニア・トレジャー」という邦題でDVD化されているらしい。でもニコラス・ケイジの本家「ナショナル・トレジャー」みたいな派手なアクションものを期待して見ると、この野郎金返せと言いたくなるだろう(穴掘ったり潜って泳いだり若干のアクションはないこともないが)。小味なコメディ(トラジコメディ?)である。元ジャズベーシストという設定の髭面キチガイ親父はなぜかずっとショーン・ペンだと思い込んでいたのだが、実はマイケル・ダグラスだった。こんなところで何やってんだお前そんなに金無いのか感が横溢している。でもさすがにうまい。娘役のエヴァン・レイチェル・ウッドは全然知らない人だったが若いのにかわいくて演技もうまい。ダグラスと存在感で互角に張り合ってるんだから相当なものだ。というかマリリン・マンソンの現彼女なのか! プロットそのものはなんというか、苦いような甘いような何とも言えない展開で人物造型も甘いが、私は結構好きだな。ダルな部分が多いので大傑作とは到底言えないが、佳作だとは思う。

Tags: Movie
本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ いまい。 [>まだ日本の映画館にはかかっているようなので暇なら見に行くといい。 八田先生のお薦めに従って見に行くとしますか..]


2008-03-20 [長年日記]

_ 帰国 はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

長らくのご無沙汰でした。いろいろな用事でいろいろなところをうろうろしておりました。世界は広いですねえ。そのへんの話はまた追々。

Tags: Life

_ 成田からのバスの話ふたたび はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

今回、基本的に空港からの帰りは京成バス(成田空港〜和光市駅・大泉学園駅)を使った。使わないといつ廃止になるか分からんもん(笑)。広州から帰ってきたときは前回と同じく15:40の成田発だったが(13人搭乗)、17:15に和光市(-3人)、17:30長久保(-0人だったので通過)、17:45大泉学園着という感じ。定時は18:05なので、改めて見るとずいぶん早く着きましたね。ボストンからのときは18:45成田発の最終便だったが(10人搭乗)、途中首都高で若干渋滞に巻き込まれ、20:35に和光市(-4人)、20:45に長久保(-1人)、21:00大泉学園着という具合だった(定時は21:05)。どちらも平日だったが、まあ大体スケジュール通りに着くと考えて良いようだ。しかし、10人とかそれくらいの搭乗でペイするのかなあ。いずれにせよ、この近辺に住んでいる人ならバス帰りはリーズナブル(スカイライナー+山手線+西武線よりは高いがNEX+西武線よりは安い)だし、大荷物抱えてうろうろしなくて良いし、圧倒的に楽ですよ。

Tags: Life

_ ホレス・パーランのトリオもの はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

仕事が一段落したりして、ぼんやりしているときにふと聞きたくなるのがホレス・パーランのピアノ・トリオものだ。実のところそんなにピアノ・トリオが好きというわけでもないのだが、パーランの場合はピアノ、ベース、ドラムスという普通のトリオ編成が音楽的に一番しっくり来るような気がする。

60年代ブルーノートにゴリゴリと黒っぽい演奏を録音していたころと、70年代以降コペンハーゲンに移住してスティープルチェイス等の欧州レーベルに録音していたころとでは、パーランの演奏スタイルはかなり異なる。パーランの全キャリアを通じたトリオものの最高傑作はと聞かれれば、私は躊躇なくブルーノートのUs Threeと答えるが、実はヘタレなので日常的に聞いているのは70年代以降のほうである。元々リズミックなセンスの良さが大きな武器だったが、ヨーロッパに渡ってからはそこに洗練されたハーモニー感覚が加わった。年齢的にも7-80年代くらいにピークがあったようで、スティープル・チェイスに3枚、エンヤに1枚あるこの時期のトリオものは、どれも甲乙つけ難い出来だ。

No Blues No Blues

1975年の録音。ベースはニールス-ヘニング・エルステッド・ペデルセン、ドラムスはオイゲン・キケロなどとも共演していたトニー・インザレコ。ここではバカテク天才ペデルセンのぐんぐん共演者を引っ張っていくサポートぶりが素晴らしい。タイトル曲や、アル・ヘイグの名演でも知られるシダー・ウォルトンのHoly Landなど聞き所満載だが、個人的には、脳卒中で若くして左半身不随になってしまった不運なピアニスト、オースティン・ウェルズが書いたWest of Edenが気に入っている。この曲にはケニー・ドリューの名演もありましたね。

Blue Parlan Blue Parlan

1978年の録音。ベースはトミー・フラナガンの「オーバーシーズ」でも弾いていたウィルバー・リトル、ドラムスはミンガス・バンドの元同僚であるダニー・リッチモンド。かつてのボス、ミンガスのGoodbye Pork Pie Hatを切々と弾いていてこれがまず良い。そして先ほども登場のウェルズが書いたワルツ、Sunspotがまた良い。そしてとどめとばかりに三者が快調に飛ばすシダー・ウォルトンの名曲Firm Rootsと来る。この前半3曲で決まり。心持ち感情移入が激しめのパーランも出色の出来だが、特にここではダニー・リッチモンドが頑張っている。この4枚のうちどれか1枚と言われれば、たぶんこれを薦めると思う。

パノニカ(紙ジャケット仕様) Pannonica

1981年、ミュンヘンのクラブ「ドミシル」でのライヴ録音。ベースはレジー・ジョンソン、ドラムスはアルヴィン・クイーン。なぜか録音レベルが低くて、かなり音量を上げないと細部までよく聞こえないのだが、音質は悪くないし、演奏内容そのものは熱気に溢れている。60年代のゴリゴリ路線が蘇ったかのように、同じフレーズを執拗に繰り返して興奮を高めていくC Jam Bluesがとてもカッコいい。タイトル曲におけるバラード解釈にも深みがある。一時期入手が難しかったが、最近紙ジャケで再発された。

Like Someone in Love Like Someone In Love

1983年の録音。イェスパー・ルンゴーがベース、前々作に引き続きダニー・リッチモンドがドラムス。前3作と比べると今ひとつ曲が地味なのだが、私はこれも気に入っている。(たぶん難しいので)あまり取り上げられることがない、ビリー・ストレイホーンのU.M.M.G.(Upper Manhattan Medical Group)という曲がミーハーに好きというのもありますが…。他にはやはりタイトル曲やミンガスのThe Duke Ellington Sound of Loveあたりに光るものがある。

しかし、この人はポリオで片手、それも本来の利き手である右手が半分くらい麻痺しているのだが、私が満足な両手で弾くよりもはるかにニュアンスに富んだ演奏を軽々とやってのけるのがすごい。人間のやることに限界はないことを、パーランの音楽は雄弁に物語っている。実物を見てみたい人は、以下の動画を見てみると良い。アルトを吹くルー・ドナルドソンのバックでピアノを弾いているのがパーランだ。不自由な右手もできるだけ活用しつつ、基本的には左手でソロを取っているのが確認できるだろう。

Tags: Music

2008-02-12 [長年日記]

_ At Monterey 1958 / Billie Holiday はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

At Monterey, 1958

もう久しく更新していないが、かつて私は自分が持っているCDのリストを作ってネットで公開していたことがある。それを見て、日本に限らず世界各地のコレクターが、あれをくれだのこれの情報を教えろだのとしょっちゅうメールで問い合わせてきたものだ(私は基本的にトレードはしませんが)。このアルバムは1958年10月5日、モンタレー・ジャズ・フェスでのライヴ音源だが、ここ十数年ほど非常に手に入りにくかったので、今まで何度もそういったメールをもらったことがある。それだけ熱心に探していた人が多いのだろう。今年に入ってようやく再発されたようだ。

ビリー・ホリデイはこの翌年、1959年7月に精魂尽き果てたという感じで亡くなってしまうので、これは最晩年の録音の一つということになる。声の荒れで悪名高いレディ・イン・サテン+4(1958年2月録音)よりもさらに後の録音だけに、さぞとんでもない出来だろうと思いきや、観客のリクエストにも気軽に応じてチャーミングに歌うホリデイがここにはいる。確かに声そのもののツヤはかつてとは比べるべくもないが、マル・ウォルドロンを中心としたトリオを従え、大物ゲストを迎えて気分良く定番曲を歌いまくるホリデイに死の影のようなものは全く感じられない*1。モンタレーの会場は近所に空港があるそうで、途中で派手な飛行機の爆音が入っていたりもするのだが(ただし隠し撮り等ではないので音質そのものは特に問題無い)、ここは録音から20年以上も行方不明だったというマスターテープの発見を素直に喜ばなければなるまい。というのも、この直後に赴いた最後のヨーロッパ・ツアー*2は観客からの野次でステージを放棄せざるを得なくなるほどの惨めな有様だったそうなので、おそらくこれが伝説的な歌姫の最後の輝きだったはずだからである。

事実上の音楽監督を務めていたのだろうウォルドロンが随所で見せる頑張りもなかなかだが(Lover Come Back To Meのアレンジとピアノのカッコよさ!)、ゲスト陣では、ジェリー・マリガンの繊細な歌伴(特にI Only Have Eyes For Youでの素晴らしいオブリガート)が印象に残る。悪いこた言わないので買える間に買っとけ。

Tags: Music

_ ポッドキャスト更新 はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

相変わらずくだらないお笑いを一席。mrmt先生など皆さんに怒られたので音質的にはだいぶ改善した(つもり)。

Tags: PodCast

*1 All Music Guideは一つ星を与えて酷評しているが、評者のスコット・ヤノーは本当に聞いたのだろうか

*2 フランソワーズ・サガンやセルジュ・ゲンズブール、ジュリエット・グレコらが観客の中にいた


2008-02-09 [長年日記]

_ サラ・ヴォーンのブラジルもの はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

I Love Brazil

Copacabana

k3c氏とTwitterでそういう話になったので取り上げる気になった。このクソ寒いのに熱帯音楽というのも妙な感じですが。

サラ・ヴォーンにブラジル音楽を歌わせる、というアイデアを最初に思いついたのが誰かは知らないが、実にうまい企画だと思う。言うまでもなく、サラはとても歌が巧い。ただ、声質やうたい回しがカーメン・マクレエあたりに比べても重厚でコッテリしているので、暗いバラードでも歌われた日には重くなりすぎて気が滅入る。そこで、バックに軽快な、というか、時として軽くなりすぎる傾向すらあるブラジル音楽を持ってくるというのは理にかなっているわけだ。

サラはパブロに「ブラジルもの」を2枚残しているが、両方とも良い出来で普段から良く聞いている。どちらも単にジャズ屋がレパートリーの一つとしてボサノバっぽく演奏してみましたという程度ではなく、わざわざリオまで出向いて現地のミュージシャンにプロデュースもアレンジも演奏も委ねたもので、サラの歌にもいつも以上に気合が乗っているようだ。どちらかと言えば個人的には2作目のCopacabanaのほうを聞く頻度が高いが(地味だから)、選曲の良さ、アレンジの華やかさという意味ではI Love Brazil!も捨てがたい。特にこちらに収められたVera Cruzの迫力はものすごいものがある。ナシメント本人がギターを弾いて歌っているし。他にもジョビン曲ではジョビン本人がピアノを弾いていたり、ドリイ・カイミの曲ではやはり本人が歌っていたり、なんというか贅沢な作りです。

Tags: Music

2008-02-07 [長年日記]

_ Cathexis & Carnival / Denny Zeitlin はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

Cathexis/Carnival

Collectablesレーベルお得意の強引な2 in 1 CDなのだが、これはかなりひどい。Cathexis相当部分はともかく、Carnivalのほうは4曲も削られている。全9曲のうち4曲って、ほとんど半分しか入ってないわけで、これはリイシューと言わんだろう…。まあ、私の目当てはCathexisのほうだから別にいいのだが。

ビル・エヴァンスの後を追う白人ジャズピアニストとして将来を嘱望され(エヴァンスはザイトリンの書いた曲を愛奏した)、実際に相当な実績を残しながらも、70年代は精神科医という本業(ジョンズ・ホプキンズ大で医学博士号取得)と作曲に専念すべく一時引退。90年代に入って再びピアニストとして活発な活動を再開し、現在に至る。デニー・ザイトリンのキャリアを簡単に振り返ればこういうことになる。何事も専門でないと、どことなく趣味、余技という感じが漂うものだが、この人に限っては全くそのようなことがない。ピアノのテクニックにしても、即興の冴えにしても、一流どころに全く遜色ない実力を備えていると思う。Cathexisは彼の初リーダー作だが、自作曲のつくり、スタンダード曲(モンクの'Round Midnightとか)の解釈、どちらも超ハイレベルでケチのつけようがない。あまりにケチのつけようがないのでなんだか腹が立ってくるくらいだ(笑)。天は二物を与えるということが、たまにはあるのですねえ。なお、ザイトリンというと判で押したようにライヴ・アット・ザ・トライデント(期間限定盤)が言及されることが多いように思うが、あれはなんだか全体に暗い感じで、個人的にはあまり好きではない。ザイトリンの美点である、明快で切れ味のよいピアノを味わうならこちらだと思う。

Tags: Music

_ チャレンジャーとしてのMicrosoft、チャンピオンとしてのGoogle はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

ひさびさにOTPに記事を書いた。MSによるYahoo!買収の話。

Tags: OTP

2008-02-06 [長年日記]

_ Catch of the Day / Matt Penman はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

Catch of the Day

マット・ペンマンは、ここ数年様々なバンドで見かけるようになったニュージーランド出身のベーシストだ。この最新リーダー作ではシーマス・ブレイクをフロントに据え、最近出てきた中では個人的に最も注目すべきピアニストだと思っているアーロン・パークスを擁したカルテットを率いている。ドラムスを叩いているのはこちらも売れっ子のエリック・ハーランドで、ペンマンは3年前、シーマスの代わりにカート・ローゼンウィンケルを入れたハーランド名義のカルテットで来日したこともある。おそらく、普段からニューヨークあたりで一緒に良く演っているメンツなのでしょう。

最近の若手の常で全員楽器がやたらうまいのは言うまでもないが、それに加えてペンマンはなかなか良い曲を書く。構成的にはやたら複雑で手が込んではいるが、どの曲にもメロディアスで大らかな温かみのある楽想が与えられているので、過度に機械的な感じが鼻につくということはない。個々の曲もそれぞれに良いのだが、全8曲通して聞くとそれなりに起伏と流れがあり、また1曲1曲は長すぎず短すぎず、相当アルバムとしての構成を練ったふしがある。全体としては切れ味の良い短編集という印象。個人的には最後の8曲目がスパッと格好良くて気に入った。

「今日の収穫」ということで、魚にベーシストのほうが釣られている(?)というベタなユーモアを湛えたジャケもなかなか。

Tags: Music

2008-02-04 [長年日記]

_ Two by Two / Steve Kuhn はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

Two By 2

フランスの老舗ジャズレーベルOwlが出した諸作は、一部を除いて長らく廃盤が続いていたのだが、去年まとめて再発CD化された。これもそのうちの一枚。

私が初めてキューンに接したのはECMに残した1作目Tranceで、耽美的というのか、幻想的というのか、あくまでリリカルでありながらそれでいてダイナミックなノリも失わない素晴らしい演奏に一発で参ってしまった。

ECM時代の印象が強すぎて、最近の保守回帰というかバップ色を強めたキューンの演奏にはどうも違和感を禁じ得なかったのだが、この作品では長い付き合いのベーシスト、スティーヴ・スワローとのデュオという理想的なセッティングで、二人が持ち寄った曲をじっくりと料理している(最後の1曲だけミシェル・コロンビエー作)。私はスワローの作る曲が好きで、EiderdownとかLadies in Mercedesあたりはメロディーを聞いただけでゾクゾクしてしまう。下手をすると嫌な音になりがちなスワローのエレベの音がすっきりと録れていて、かつてに比べ温かみを増したキューンのタッチと非常に良く調和しているのも素晴らしい。

Tags: Music

_ mhattaのPodCast更新 はてなブックマークに追加 del.icio.usに追加 MM/Memoに追加

2月3日分を更新しました。驚いたことにこのところは毎週更新しているらしい。

Tags: PodCast
本日のツッコミ(全4件) [ツッコミを入れる]

Before...

_ mhatta [善処いたしますです。]

_ 0020 [>ジングル 出だしの一瞬の音だけが馬鹿でかいので、多分0sec〜1secにかけて音量を50%減→制限解除とフェードイ..]

_ mrmt [あと、収録終了後に余韻とかミュートを2〜3秒いれたほうがいいかも。 いまだと、あっ終わった、と同時にリピート再生で..]