My Human Gets Me Blues

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2006-11-25

_ [Music] In Europe 1961-1964 / Eric Dolphy

IN EUROPE 1961-1964 [DVD](ERIC DOLPHY)

最近は廉価で良質なジャズの輸入DVDが増えてきて喜ばしい限りだ。これも動くドルフィーが鮮明な映像と音で楽しめる。

このDVDの前半は1961年8月30日のベルリン録音。ようするに、CDではベルリン・コンサート(紙ジャケット仕様)(エリック・ドルフィー/ベニー・ベイリー/ペプシ・アウア/ジョージ・ジョイナー/バスター・スミス)の一部である。ドイツ、バーデン・バーデンのテレビ局SWFが製作して月2回放送していた有名TV番組「Jazz-Gehort und Gesehen」(Jazz-Heard and Seen)の収録で、ちょこちょこ出てきてメンバーや曲目を紹介する司会者はどこにも書いていないがヨアヒム・ベーレントだ。CDでは省かれたBlues in the Closet(ただしドルフィーは吹かない)も入っている。4曲めBlues Improvisationというのは間違いで、本当の曲名は定番の245ですね。CDでもこれはなぜかThe Meetingというタイトルになっていた。どうやら実際に放送されたのはDVDに収録された4曲ぶんだけらしいが、CDに入っている残りの曲に対応する映像はどうなったんだろう。

後半は1964年4月12日、オスロのアウラ大学におけるミンガス・ワークショップのライヴ。ジョニー・コールズが病気で倒れる前なので6人編成のセクステットである。ドルフィーの額のコブが無くなっているのが興味深い。この日はFables of FaubusやMeditations、Parkeriana(DVDに入っているOw!は同じ曲だが何故か途中でミンガスが打ち切った短いバージョン)も演奏しているが、映像が残っているのはどうやらDVDに収録の4曲だけのようだ。ジャキ・バイヤードが超絶秘技を繰り出して場を一人でさらってしまう場面(ミンガス大喜び)が何度もあっておもしろい。それにしてもドルフィーのパーカーの真似はぞっとするほどうまい。フレーズだけ真似るのはそれほど難しくないが、音色やリズム感も巧みに真似ている。パーカーの真似に関してはラサーン・ローランド・カークと双璧だと思う。

ちなみにリンク先のAmazon.co.jpにはリージョン1で北米オンリーと書いてあるが、私が持っているのはリージョン0、すなわち全世界のどのDVDプレーヤで見られる奴だ。リージョンフリーを出す一方でリージョンを指定したDVDも出すというのはあまり聞いたことがないので、Amazon.co.jpが単に間違えているだけではないかと思うが、不安ならばタワレコ等のレコード屋で確かめてから買えばよいだろう。

本日のツッコミ(全6件) [ツッコミを入れる]

Before...

_ mhatta [http://www.jamrice.co.jp/schedule/sch-new2007.htm ですかね。私は..]

_ かのう [うう,A席しか取れませんでした. ブルーノート大阪に行きたい.]

_ mhatta [私はいちおうS席です。大阪はソロオンリーなのか…]


2007-11-25

_ [Reading] 升田将棋の世界 / 真部一男

升田将棋の世界(真部 一男)

将棋の真部一男八段が亡くなったそうだ。インターネットのおかげで最近になって再びプロの将棋を観戦するようになったのだが、10月に行われたおそらく最期の対局(対豊島将之四段戦)は、まだ互いの駒がぶつかってすらいない、開始直後の局面でいきなり投了するという不可解なものだった。相当ひどい体調なのだろうと思っていたら順位戦休場の告知が出て、最終的には亡くなった、と。昔から酒量の多さで名の通った人だったが、やはり肝臓か。55歳というのは若死の部類でしょうね。

私は小学生のときに故・原田泰夫九段の書いた入門書(書名は失念)で将棋のルールを覚えたのだが、巻末に棋士紹介みたいなのがあって、そこに唯一七段で載っていたのが真部だったと記憶する。当時はA級に昇るか昇らないかぐらいのころだったはずで、相当将来を嘱望されていたのだろう(そのころの様子は河口俊彦の「対局日誌」の何巻目だかに活写されている)。結局その後は奇病あり離婚ありで棋士としての実績も鳴かず飛ばずだったが、陳腐な言い方をあえてすれば、記録よりも記憶に残る棋士だったということになるのかもしれない。体力面で常に不安を抱えつつ、多かれ少なかれ体力勝負である現代将棋の土俵で戦い続けなければならなかったところに、真部の不幸があったとも言えるだろう。

この本は真部が専門誌に連載していた「将棋論考」の中から、昭和の天才棋士、升田幸三の棋譜に関するものだけを30本選り出したもの。対大山康晴戦のような有名なものに加え、マイナーな棋士やアマ最強を謳われた真剣師、小池重明との棋譜も収めている。棋譜解説以外のマクラの部分は執筆当時の真部の身辺雑記なのだが、晩年の升田のエピソードや芹澤博文の思い出、ガルリ・カスパロフとディープブルーのチェス対戦、ネット対局の話なども出てきて、なかなかおもしろい。真部は名文家とは言えないかもしれないが、流れと勢いのある文章にはなかなか味がある。将棋にあまり馴染みの無い向きでも十分楽しめると思う。

本日のツッコミ(全1件) [ツッコミを入れる]

_ 清家 八千代 [真部8段(9段は追贈)の最後の対局は その後波紋を呼びます。  投了時は大ポカか? とまでいわれた手が その後の4二..]