My Human Gets Me Blues

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2003-08-14 Yon Gimme Thum

_ Debugger GUI

ふとデバッガの皮というかGUIを探す気になり、いろいろ検討する。どうせ大方は後ろでgdb使っているわけで、まあどうでも良い話といえばそれまでなんですが。

_ 御三家+1

昔はxxgdbのような貧弱なものしかなかったのだが、どうも最近では御三家+1という感じのようだ。
  • DDD(Motif)
  • GVD(GTKだがAdaで書かれている。かなりたまげる)
  • Insight(Tcl/Tk)
が御三家。GNOMEのAnjutaが+1。ただAnjutaは完全なIDEなので、まあデバッガの皮という範囲からははみでているかも。 で、Debian的にはdddとgvdのパッケージは比較的良くメンテナンスされているのだが、insightのdebはひどいもので、完全な放置状態。そのため、そもそもgcc3.0以降でコンパイルされたプログラムはデバッグできなくなっているようだ(DDDとGVDは本当にgdbの皮なんだけど、Insightはgdbそのものを中に取り込んでいる)。 と愚痴っていてもしかたないので、しこしこ手直しして動くようにする。NMUすっかなあ。

2004-08-14

_ [Music] Spinning Song: Duck Baker Plays The Music Of Herbie Nichols

Spinning Song: Duck Baker Plays the Music of Herbie Nichols(Duck Baker)

池袋のディスクユニオンを覗いたら、DIWから出ていた日本盤CDの中古が500円だの800円だのとかなり有り得ない値段で投げ売りされていて、気絶して思わず6枚も買ってしまった。これはそのうちの一枚。

ギターの世界に疎いのでダック・ベイカーというのは全く知らない人だったが、教則本やビデオなどを多く出していて、どちらかというと教育者として有名な人らしい。結構頻繁に来日しているようだ。

そういった人が、ハービー・ニコルズの作品を、ソロ・ギターで演って、しかもジョン・ゾーンのレーベルAVANTから出すという企画そのものがまず面白い。ジャケットにも見ての通り当人ではなくニコルズの写真(フランシス・ウルフが撮った有名なポートレイトですね)が使われているので、知らない人が見たらベイカーとはこういう人だと思うか(ベイカーは白人です)、あるいは1964年に亡くなった故ニコルズの「新作」だと思うか、どのみち変に誤解するような気がする。

内容はと言えば、いかにもニコルズらしい屈折したメロディー・ラインと変ちくりんな構造を持つ曲を、あまり凝らず律義に淡々と解釈してギター一本で弾き切った、地味ながら聞き飽きの来ない代物。別に早弾きなどでテクニックをひけらかしているわけではないが、並の技倆でないことは素人にも分かる。アクースティック・ギターの音色もあいまって、非常に味わい深い。

また、おそらく作曲者当人が遺した録音よりも馴染みやすいと思われるので、ニコルズに関心はあるが聞いたことはないという方にもおすすめできると思う。なお、ニコルズ自筆の「Bartok」の譜面がジャケットの内側に載っています。


2006-08-14

_ [Reading] 革命的半ズボン主義宣言 / 橋本治

革命的半ズボン主義宣言 (河出文庫)(橋本 治)

作家の吉川潮が産経イザ!に『いい大人が半ズボンとは』とかいう記事を書いている。「半ズボン野郎の顔をしみじみと見ると、どいつもこいつも仕事ができそうにない感じがしてならない」というあたりが最高だ。仕事と半ズボンは全然関係無いじゃねえか。いい大人がこんな記事を書くほうがよほど恥ずかしい。一応公正を期すために言うと、吉川の江戸っ子だってねえ―浪曲師広沢虎造一代 (新潮文庫)(吉川 潮)は良い仕事だった。半ズボンもはいてないのにこれが書ければ立派なものだ。

私は夏は大体どこに行くにも半ズボンだ。理由は簡単で、暑いからだ。もっと厳密に言えば、クソ暑いからだ。クソ暑いにも関わらず長ズボンをはくことのどこに合理性があるのか私にはさっぱり分からない。日本(というか東京)が暑いこと自体は当面いかんともしがたいが、自分が暑いのは薄着をすれば改善できる。改善しないのは単なる怠慢である。冷房だって金がかかる。下手すりゃ国民の税金の無駄遣いだ。あるいは環境破壊の遠因だ。

だいたい、半ズボンだってちゃんと着こなせばかっこいいのだ。最近の半ズボンはユニクロの安物だって相当にかっこいい。毛ずねが見苦しければ剃ればよいではないか。腹が出ているなら痩せればいいではないか。ようは、半ズボンをはいてかっこよく見える、借り物ではない日本独自の様式を、自分の頭で考えて自主的に確立すればよいのである。気候が全然違うオランダから輸入した洋服を、こんな亜熱帯じみたところで何も考えずに着るから話がややこしくなるだけの話。そもそも、見苦しいのはそいつ自身の問題であって半ズボンのせいではない。ゆえに私個人が見苦しいのは私の問題であって大変申し訳ありませんでした。あと、もちろん半ズボンがはきたくない奴は黙ってはかなければ良いのである。そういうことを自分で判断できるのが、主体性ある大人ってやつじゃないんですかね?

というような議論は、1984年に出たこの本ですでにこってりと展開されている。一冊使って「男が半ズボンを履くことの正当性」を完膚無きまでに論証し、返す刀で実は半ズボンとは直接関係ない、「近代日本的なるもの」の問題点まで論証してしまった橋本治はすごい。正当性というものは前例や上位者からの指令や周囲からの同調圧力によってではなく、論理によってのみ獲得されるのだ、ということを、身をもって証明した本。

本日のツッコミ(全3件) [ツッコミを入れる]

_ とおりすがり [全く同感。吉川潮のコラムは馬鹿で見苦しい。 ズボンの長さなんて結局はどうでも良いことであって、そのどうでも良いことに..]

_ 書いてる私がガキかな? [全くです。馬鹿馬鹿しいを通り越して哀れ。 人と違った主観をお持ちなのは結構。しかし、こうも主観がガキっぽいのでは品性..]

_ 半ズボンは携帯冷房 [確かにそんな曲がった 偏見の塊の作家だか何だかわからんような頭の固まりきった、馬鹿な大人の代表格が書いた「大人半ズボ..]


2008-08-14

_ [Music] Shirley Scott & The Soul Saxes

シャーリー・スコット&ザ・ソウル・サックシズ(紙ジャケット仕様)(シャーリー・スコット&ザ・ソウル・サックシズ)

シャーリー・スコットというと淡白でさわやかなオルガンというイメージしか無いが(結局のところピアニストが本業だし)、ここではソウルなサックスの皆さんとしてキング・カーティス、デヴィッド・ファットヘッド・ニューマン、ハンク・クロフォードという重量級3人を迎え、大変に濃厚で暑苦しい音楽を展開している。

このアルバムで良いのはジャケットと演奏と選曲と編曲で、まあ言い換えれば全部良いということなのだが、特に際立って良いのは当時モンゴ・サンタマリアのアレンジャーを務めていたマーティ・シェラーの編曲だ。ビートルズ曲や『スタンド・バイ・ミー』のカバーなど、なまじ原曲が有名なだけに、下手なアレンジではすぐ古びてしまって現在では聞くに耐えないということもままあるのだが、全曲当時のヒット曲のカバーであるにも関わらず今聞いても全く捨て曲がないというのはある意味驚異的とも言える。分厚いホーンズのリフも最高だが、ギターにエリック・ゲイル、ピアノにリチャード・ティー、ベースにチャック・レイニーあるいはジェリー・ジェモット、そしてドラムスにはバーナード・パーディ(とジミー・ジョンソンとかいう知らない人が数曲)という、この時期最強のリズムセクションも相変わらず冴えている。

で、じゃあリーダーのシャーリー・スコットのオルガンはどうなの、ということになるのだが、まあ、彼女にしては頑張ってるんじゃないでしょうか…。