My Human Gets Me Blues

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2008-03-20

_ [Life] 帰国

長らくのご無沙汰でした。いろいろな用事でいろいろなところをうろうろしておりました。世界は広いですねえ。そのへんの話はまた追々。

_ [Life] 成田からのバスの話ふたたび

今回、基本的に空港からの帰りは京成バス(成田空港〜和光市駅・大泉学園駅)を使った。使わないといつ廃止になるか分からんもん(笑)。広州から帰ってきたときは前回と同じく15:40の成田発だったが(13人搭乗)、17:15に和光市(-3人)、17:30長久保(-0人だったので通過)、17:45大泉学園着という感じ。定時は18:05なので、改めて見るとずいぶん早く着きましたね。ボストンからのときは18:45成田発の最終便だったが(10人搭乗)、途中首都高で若干渋滞に巻き込まれ、20:35に和光市(-4人)、20:45に長久保(-1人)、21:00大泉学園着という具合だった(定時は21:05)。どちらも平日だったが、まあ大体スケジュール通りに着くと考えて良いようだ。しかし、10人とかそれくらいの搭乗でペイするのかなあ。いずれにせよ、この近辺に住んでいる人ならバス帰りはリーズナブル(スカイライナー+山手線+西武線よりは高いがNEX+西武線よりは安い)だし、大荷物抱えてうろうろしなくて良いし、圧倒的に楽ですよ。

_ [Music] ホレス・パーランのトリオもの

仕事が一段落したりして、ぼんやりしているときにふと聞きたくなるのがホレス・パーランのピアノ・トリオものだ。実のところそんなにピアノ・トリオが好きというわけでもないのだが、パーランの場合はピアノ、ベース、ドラムスという普通のトリオ編成が音楽的に一番しっくり来るような気がする。

60年代ブルーノートにゴリゴリと黒っぽい演奏を録音していたころと、70年代以降コペンハーゲンに移住してスティープルチェイス等の欧州レーベルに録音していたころとでは、パーランの演奏スタイルはかなり異なる。パーランの全キャリアを通じたトリオものの最高傑作はと聞かれれば、私は躊躇なくブルーノートのUs Threeと答えるが、実はヘタレなので日常的に聞いているのは70年代以降のほうである。元々リズミックなセンスの良さが大きな武器だったが、ヨーロッパに渡ってからはそこに洗練されたハーモニー感覚が加わった。年齢的にも7-80年代くらいにピークがあったようで、スティープル・チェイスに3枚、エンヤに1枚あるこの時期のトリオものは、どれも甲乙つけ難い出来だ。

No Blues(Horace Parlan) No Blues

1975年の録音。ベースはニールス-ヘニング・エルステッド・ペデルセン、ドラムスはオイゲン・キケロなどとも共演していたトニー・インザレコ。ここではバカテク天才ペデルセンのぐんぐん共演者を引っ張っていくサポートぶりが素晴らしい。タイトル曲や、アル・ヘイグの名演でも知られるシダー・ウォルトンのHoly Landなど聞き所満載だが、個人的には、脳卒中で若くして左半身不随になってしまった不運なピアニスト、オースティン・ウェルズが書いたWest of Edenが気に入っている。この曲にはケニー・ドリューの名演もありましたね。

Blue Parlan(Horace Parlan) Blue Parlan

1978年の録音。ベースはトミー・フラナガンの「オーバーシーズ」でも弾いていたウィルバー・リトル、ドラムスはミンガス・バンドの元同僚であるダニー・リッチモンド。かつてのボス、ミンガスのGoodbye Pork Pie Hatを切々と弾いていてこれがまず良い。そして先ほども登場のウェルズが書いたワルツ、Sunspotがまた良い。そしてとどめとばかりに三者が快調に飛ばすシダー・ウォルトンの名曲Firm Rootsと来る。この前半3曲で決まり。心持ち感情移入が激しめのパーランも出色の出来だが、特にここではダニー・リッチモンドが頑張っている。この4枚のうちどれか1枚と言われれば、たぶんこれを薦めると思う。

パノニカ(紙ジャケット仕様)(ホレス・パーラン・トリオ/レジー・ジョンソン/アルヴィン・クィーン) Pannonica

1981年、ミュンヘンのクラブ「ドミシル」でのライヴ録音。ベースはレジー・ジョンソン、ドラムスはアルヴィン・クイーン。なぜか録音レベルが低くて、かなり音量を上げないと細部までよく聞こえないのだが、音質は悪くないし、演奏内容そのものは熱気に溢れている。60年代のゴリゴリ路線が蘇ったかのように、同じフレーズを執拗に繰り返して興奮を高めていくC Jam Bluesがとてもカッコいい。タイトル曲におけるバラード解釈にも深みがある。一時期入手が難しかったが、最近紙ジャケで再発された。

Like Someone in Love(Horace Parlan) Like Someone In Love

1983年の録音。イェスパー・ルンゴーがベース、前々作に引き続きダニー・リッチモンドがドラムス。前3作と比べると今ひとつ曲が地味なのだが、私はこれも気に入っている。(たぶん難しいので)あまり取り上げられることがない、ビリー・ストレイホーンのU.M.M.G.(Upper Manhattan Medical Group)という曲がミーハーに好きというのもありますが…。他にはやはりタイトル曲やミンガスのThe Duke Ellington Sound of Loveあたりに光るものがある。

しかし、この人はポリオで片手、それも本来の利き手である右手が半分くらい麻痺しているのだが、私が満足な両手で弾くよりもはるかにニュアンスに富んだ演奏を軽々とやってのけるのがすごい。人間のやることに限界はないことを、パーランの音楽は雄弁に物語っている。実物を見てみたい人は、以下の動画を見てみると良い。アルトを吹くルー・ドナルドソンのバックでピアノを弾いているのがパーランだ。不自由な右手もできるだけ活用しつつ、基本的には左手でソロを取っているのが確認できるだろう。