今どき水性ボールペン(ローラーボール)好きを公言している人間として、やはりこれは買わなければ男がすたる(ポリティカリーにコレクトではない表現)という、よくわからない義務感に駆られて買った。すでに家には売るほどローラーボールがあるのだが。
ユニボールZENTOは最近三菱鉛筆が出したローラーボールの新ラインで、なんと4種類も一挙発売である。10年以上新製品が出なかった(たぶんユニボールエアが最後?)ローラーボール界としてはうれしいニュースだ。
上から値段が高い順に
- シグネチャー(3000円くらい)
- フロー(1000円くらい)
- スタンダード(250円くらい)
- ベーシック(250円くらい)
という感じ。芯径は0.38mmと0.5mmがある。
一番高いシグネチャーはものすごい売れているらしく、品薄が続いていて私はそもそも実物を見たことがない。今は技術的には(インクの耐乾性が上がったので)必須ではないが、あえて水性ボールペンの伝統であるキャップ式を採用している。マグネットでパチンとはまるのは、モンブランのMかなんかを意識したんですかねえ。ただ、個人的にはどうしても三菱鉛筆製品の軸はデザインがどんくさいという印象が拭えず、それはシグネチャーモデルであってもそうなんです。
フローはノック式。松竹梅の竹クラスだが、最近流行りの金属軸でちょっと高級感を出してみました、という狙いのようで、私はこれを買った。
スタンダードとベーシックは廉価版で値段も同じなのだが、何が違うのかよく分からない。どうも軸の色が違うだけのような気がする。私があまり好きではないラバーグリップなので避けたが、逆に先っぽまでラバーなので、ラバーグリップ好きにはたまらないのではないか。
で、実際に書いてみて思ったのは、確かに水性っぽいところも大いにあるのだが、でもなんかゲルインクぽいよなあということである。昔書いたが、Vコーン(私が好きなキャップ式ローラーボールの代表格)のノック版でVコーンノックというのが出たことがあり、別に悪いものではなかったのだが、なんか書き味が違った。それに似た感じなんですよ。
インクの配合にいろいろ工夫があるらしく、書き味も発色も良いし、裏抜けや滲み、乾きが遅いなど水性のダメなところを見事に潰していて感心するのだが、だったらジェットストリームでいいじゃねえか、みたいなところは否めない。先日書いたぺんてるの油性ボールペン、フローチューンのほうがなんとなく私の感触としては往年の水性ぽいのである。我ながら何書いてんだという感じではあるが、ダメで不便なところも含めて水性の個性なんですよ。大げさに言えばドバドバピュッピュと水が噴出するような、あの妙な感じが私にとっては唯一無二の魅力なんだよなあ。とはいえ、これは正常進化で、多くの人に受け入れられるものだと思う。普通に良いペンとしておすすめ。
個人的には、せっかく三菱鉛筆はLAMYを買収したんだし、M63とかM66とか、LAMYのローラーボール替芯としてZENTOインク入りのを出してくれないかなとは思った。LAMY Swiftの中身がこれとか、想像するだけで 欲情 興奮してしまう。変態でごめんなさい。