Kickstarterで申し込んでいたThe Roost Laptop Stand(とRKM case)がようやく到着した。出資したのはいつだったか覚えていないくらい前のことだが、とにかく届いてよかったよかった。
前にも書いたが、基本的に自宅の自室と大学の研究室を行き来する生活を送っているので、およそノマドワーカーとは言い難い。ただ、ここ数年は国内、海外問わず出張へ行くことが増えてきたし、職場が自然豊かな地(婉曲表現)にあるということもあって、都心へ行く用事がある際には出先で数時間仕事をするということもある。そうなると、普段慣れ親しんだ環境以外であれやこれやと作業をするということが多くなるわけだ。去年は大学図書館の地下書庫に籠もって調べ物をすることが結構あったので、そういうときもいわば出先で作業ということになる。
スタバ等のこじゃれたカフェだと、どこへ行ってもノマドワーカーないしノマドワーカー・ワナビーみたいな人がいっぱいいるが、いつも思うのは、連中カラダが凝らないのかなということである。大体机が低いので、ラップトップの画面が普通に椅子に座ったときの正面への視線よりも下にくる(机が無くて本当にひざ(ラップ)の上にラップトップを置くときも当然そうなる)。そこで、ラップトップに覆い被さるような猫背の姿勢でキーボードを叩くことになるわけだが、あれは相当体に負担のかかる姿勢だと思う。むかし大学院生だったころ、よんどころない事情で夜中に翻訳を近所のデニーズでやっていたのだが、首はつるやら肩は凝るやら背中は張るやらで困ったものだ。
そんなわけでラップトップのディスプレイは視線と水平なあたりまで持ち上げたいのだが、そのために必要なのがいわゆるラップトップ・スタンドである。カテゴリとして決まった名称は無いようで、海外だとlaptop standとかlaptop riserとか様々な名前で呼ばれているが、それなりに使われているようだ(専門店すらある)。日本ではそもそもあまり普及していないが、ライヴハウスでラップトップ・ミュージックをやる音楽家が使っているのを見たことはある。これもいろいろな製品があるのだが、重くてかさばる上、そもそも画面を必要な高さまで持ち上げられないものが多く、持ち運びを考慮したものもあまり無かった。
そんな中で私が大昔から使っているのはCBS Lapjackという奴で、昔は原宿のアシストオンにあったのだが、今は扱っていないようだ。HYLITEという特殊素材で出来ていて、折りたたむと薄くなって軽いのがよいのだが、サイズとしてはA4オーバーなので、かさばならないかと言えば嘘になる。
Amazon.co.jpで簡単に買えるのは上の写真のこれだが、元はといえば台湾かどこかのメーカーが作っているらしく、OEM(?)なのかどう見ても同じものが違うブランド、違う名前で出ている。これも悪くはなく、私は自宅や研究室で据え置きとして使っている。下に何かひいておかないと、動かすたびに机に傷がついてしまうのですが…。
この手のニッチな製品はクラウドファンディング向きのようで、KickstarterにもThe Roost以外にFLIOやThe Apex Revolutionというのもあるようだ。まあ、機能とコンパクトさと重量の兼ね合いでは、今のところThe Roostがベストだと思う。軽いし、なんといっても開くときはパカッと開いて、仕舞うときは一本の棒にまとまるというギミックが独創的である。
この種のスタンドを使うと、外付けのキーボードとマウスが必要になる。今回はThe Roostのおまけとして、スタンド以外にその他一式も入れられるバッグのRKM(Roost Keyboard Mouse)caseというのも買ったのだが、これもなかなか良かった。
注文した当初は、RKM caseにHappy Hacking Keyboard Professional2を入れて持ち歩くつもりだったのだが、このところAndroidタブレットもかなりヘヴィーに使うようになっていて、Bluetooth非対応のHHKBはやや持ち出しにくい。
そこでBluetoothキーボードを物色したのだが、なかなかこれというめぼしい製品がない分野で、
- Bluetooth対応(これは当たり前)
- マルチペアリング(複数の機器といちいち再ペアリングすることなく接続可能)
- HHKBやRealforceのような静電容量無接点方式並みとは言わずとも、そこそこの打ちやすさ(安物キーボードにありがちなぐにゃっとした打鍵感がない)
- あまり変態的ではない日本語配列
- それなりの質感
あたりを満たす製品となると、事実上Logicool K810しか無いのではないかと思う。3台までマルチペアリングできるし、最近のMicrosoftのキーボードのような余計なことはしていないのでCtrlとCapsのスワップも素直にでき、ファンクションキー等がDebianというかGNU/Linuxから設定可能なのもよろこばしい。しばらく使っているが(このブログも大半はこのキーボードで書いた)、不満のない出来である。
Bluetoothマウスもこれまた決定版の無いニッチで、私もいろいろ調べてみたのだが、特にマルチペアリングでモバイルということになると、これまたLogicoolのT630しかないのではないかと思う。これはこれでよいマウスなのだが私の手にはやや小さすぎるので、普段は仕方なく、BluetoothではないがワイアレスではあるトラックボールのLogicool M570を使っている。親指で球を回すタイプのものであれば、普段はマウスを使っていてもあまり違和感無く移行できるのがこの種のトラックボールの良いところである。場所も取らないし。
M570のBluetooth版が出ればすぐ飛びつくのだが、そもそもBluetoothのトラックボールというのが無いんですよね。ちなみにRKM caseにはM570もちゃんと入る(HHKBも入るが)。別にLogicoolから金をもらっているというわけではない(むしろ大枚払っている)のだが、この種のガジェットを機能本位で選ぶと、どうしてもLogicoolばかりになってしまう。
加えて、自宅にしろ研究室にしろマルチ・ディスプレイ環境に慣れきっているので、出先でもせめてデュアル・ディスプレイもどきにはしたいのである。最近ではGechic On-Lap1303Iのような本格的なモバイル・ディスプレイもあるが、ディスプレイにしか使えないものをいつも持ち歩くというのもなあというのがあり、やはりここは普段持っているタブレットを、必要な時だけ拡張ディスプレイとして使いたいわけです。
この種のことを実現するアプリはAndroidにしろiPadにしろいろいろあるのだが、いくつか私が試した限りでは、Androidタブレットでまともに使えるのはTwomonUSBだけのような気がする。USBケーブルでつなぐと簡単にディスプレイを拡張できる。有料だが大した値段ではないしとても便利だ。
タブレットを立てるタブレットスタンドも、これまた星の数ほど出ているが、
- 安定して立てられる
- ある程度角度が変えられる(これ意外と重要)
- 重量が軽くかさばらない
となると、途端に数が絞られる。私が知る限りでは、これら全ての条件を満たすのはこのCoolerMasterのJAS miniくらいしか無いように思う。スマホならOKでもタブレットを乗せるとひっくり返ってしまうものが多い中、これは足にゴムの滑り止めが付いていることもあってなかなかしっかり立つし、しかもかさばらない。
タブレットケースの類も多いが、私はキングジムのタブリオを愛用している。タブレット以外にJAS miniもポケットに入れて持ち運べるし、一緒にA5のノートと多色ペンも持ち歩くことができる。取っ手がついているので、これだけで持ち歩きも出来るしバッグからも出しやすい。あまり話題にならないが、必要なものがこれ一つにちゃんと収まるという点で言えば、これはなかなかのすぐれものだと思う。
というわけで、総合すると2016年現在わたくしが思う最良のノマドワーク用品一式は、上の写真のような構成になる。去年から大体この構成(先日までスタンドはLapjackだったが)でカフェやら会議室やら空港のラウンジやらを動き回っているが(さすがに新幹線や飛行機は机が小さすぎて無理)、ほぼストレスフリーな作業環境が、40cm×40cm(タブレットも置くなら40cm×50cm)くらいのスペースに収まる。背景がおしゃれなカフェではなく私の小汚い研究室なので、見た目はぱっとしませんがね。もし、他にもこんなものがあって便利だということがあれば、ご教示いただけるとありがたい。